
教会からモスクからの博物館でまたモスク!?イスタンブール・アヤソフィア・ジャーミィ
公開日 2021年10月19日 最終更新日 2021年10月20日
イスタンブールの旧市街で、ブルーモスクと対になって鎮座するアヤソフィア(Ayasofya)。今から1500年ほど前に建てられたビザンチン帝国が誇る大教会は、オスマン帝国がコンスタンティノープルを征服して以降、偉大なるモスクへと生まれ変わった。のだが、トルコ建国の父アタテュルクが博物館とし、一般公開されることとなった。そして2020年、長い修復期間を経てアヤソフィアは、再びモスクとなった。世界中で賛否両論の的となった、イスラム教とビザンチン壁画が共存するアヤソフィアへ。
アヤソフィアの歴史

アヤソフィア/イスタンブール・トルコ
この地に建てられた教会は、一度ならず二度までも焼失・破壊され、3度目で今の姿となったらしい。一万人以上の人々の労働により、5年の歳月をかけて537年に完成。わずか5年の月日でこの壮大なドームを持つ教会が建築されたことは、当時としては驚愕のスピード工事だったようだ。

アヤソフィア/イスタンブール・トルコ
短期間でこれだけ壮大な教会を建築できたのは、エフェスのアルテミス神殿、エジプト、レバノンなど各地の神殿の柱を再利用したから。よーく見ると、柱の色はまちまちのようだ。柱の色味によって、どの地方から運んだのかがわかるらしい。赤はエジプト、緑はギリシャ、白はマルマラの島々から、黒はイスタンブールといったように。

アヤソフィア/イスタンブール・トルコ
コンスタンティノープル征服に成功した皇帝メフメット二世は、壁画を漆喰で塗りつぶし、中央にはメッカの方角を示すミフラブを作り、カリグラフィーも飾らせた。モスクとして利用されていたアヤソフィアも、1935年2月1日から、トルコ建国の父アタテュルクの命により、博物館として開放。開放にあたり、漆喰をはがす修復作業を行ったところ、素晴らしいビザンチン絵画が眠っていることが発覚した。
アヤソフィアの見所
大きなドームと内部

アヤソフィア/イスタンブール・トルコ
教会の壮大なドームは、高さ55m、直径31mで、107もの柱で支えられている。入口左側から、石畳のスロープを上がっていくと、二階の広い通路に出る。ここで聖母マリアやキリストのモザイクを見ることができる。アッラーやムハンマドといった意味を持つ大きなカリグラフィーと、ビザンチンのモザイク画を同時に見ることができる貴重な博物館だ。
聖母マリアの手形・汗かき柱・願いの柱
一つだけ、人々が集まって賑わう柱がある。この柱は、聖母マリアの家で使われていた柱を、ビザンチン帝国皇帝がアヤソフィアに持ち込み利用したとされているそうだ。

聖母マリアの家/セルチュク・イズミル
イエス・キリストが磔刑で亡くなったことを知って涙した聖母マリアは、この柱に触れて休んだとされ、その時の涙がこの柱に流れたため、“泣く柱”とよばれている。

アヤソフィア/イスタンブール・トルコ
銅板に覆われた柱には、穴が開いていて、人々が入れ代わり立ち代わり親指を入れてまわしている。ビザンチン帝国の皇帝が、この柱にもたれかかって病が治ったという伝説があり、くぼみに親指を入れた後、身体の悪い部分にこすると、病が治るとされている。それは並んででもやりたい。また、親指を入れて、時計回りにぐるりと円を描くようにまわすことができれば、願いが叶うそうだ。
ミナレット(塔)はシナン作

アヤソフィア/イスタンブール・トルコ
アヤソフィアには4本のミナレットがあり、エディルネにあるセリミエ・ジャーミィのミナレットと似ていることから、シナンによってつくられたものとされている。同時に作られたものではなく、西側と東側で時期をずらしてつくられたと推測されている。
2020年生まれ変わったアヤソフィア

二階にあがる道/アヤソフィア・ジャーミィ
やたらに長い修復だなと思っていたのだが、モスクにまた戻しているとは知らなかった。海外の報道では批判が多数あるようだけれど、イスラム教徒の皆さんにとっては、歓びの日。海外から見たら、聖ソフィア教会時代の絵画はどうなったのか?が気になるところだ。アヤソフィア・ジャーミィのホームページ上では、「聖母マリアや大天使ガブリエルの素晴らしい絵画が見られる」と記載されているので、その辺りは依然と変わらないのだと思われる。

アヤソフィア・ジャーミィ/イスタンブール・トルコ
今までと同じように見学できるとはいえ、モスクになった為、肌の露出が少ない服装を心がける注意が必要だったり、女性はスカーフの着用を義務付けられている。礼拝の時間と金曜日の特別礼拝の時間は入れないので、外で待機になると思われる。礼拝の時間は、観光客向けアヤソフィア・ジャーミィのホームページを確認の上訪問しよう。
すべての訪問者(イスラム教徒、非イスラム教徒)はアソフィアモスクに入ることができます。訪問者はモスクのカーペットに乗る前に靴を脱ぐ必要があります。祈りの時間(1日に5回)、特に金曜日の正午に祈るときは、アヤソフィアモスクを訪問しないでください。アヤソフィアに入るときは、女性は頭を覆うものを着用する必要があります。スカーフはアヤソフィアモスクの入り口で無料でご利用いただけます。写真撮影は許可されていますが、モスクで祈る人の写真は撮らないでください。訪問中は黙って、走らず、祈る人の前に立ってください。アヤソフィアモスクの入場料はかかりませんが、寄付は歓迎されます。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。
※この記事は、トルコのとりこ(2019/8/27)をリライトしたものです。