
トルコ・アナトリア半島東の果て・ドウバヤズット
公開日 2021年7月22日 最終更新日 2021年11月7日
ドウバヤズット(doğubayazıt)は、アナトリア半島の東端にあって、イランとの国境付近にあります。治安面もあるので、たまにクラブツーリズムがツアーを催行している以外は、ほとんどまわることができない場所だ。個人で行くのもなかなかハードルが高い。それでも足を運びたい魅力は、イサクパシャ宮殿と、アララト山、ノアの箱舟保護区にある。まずは、ドウバヤズットについてまとめておこう。
ドウバヤズットについて
ドウバヤズットがあるのはココ

東アナトリア地図
ドウバヤズットがあるのはアナトリア半島の東の果てで、イランやアルメニアとの国境付近にある町。人口12万人の、東アナトリア最大の都市でもある。冬寒く、夏暑い気候だが、この街を訪れる観光客は少なくない。
歴史的宮殿とアララト山の拠点になる町

ドウバヤズット
ドウバヤズットは、アララト山に最も近い町であり、ノアの箱舟保護区への拠点にもなる。それに、近くには温泉と、温かな人と景色がある。なかなか行くことができないエリアだが、一生に一度は旅する価値はある。市内から少し足をのばすと、遊牧民がゆったりと暮らす昔ながらのテュルク民族の風景に心癒されるエリアだ。
ドウバヤズット観光スポット
1.イサク・パシャ宮殿

イサク・パシャ宮殿/ドウバヤズット
ドウバヤズットを旅する目的の一つは、このイサク・パシャ宮殿(Ishak Paşa Sarayı)にある。市内から7km離れた山の上にある宮殿だ。第一次世界大戦までは、この宮殿で州知事が政をしていた。

イサク・パシャ宮殿/ドウバヤズット
1685年に建築が開始され、99年の月日をかけて完成させた“完全な宮殿”とされている。建物の一部は3階建てになっている。 宮殿には、ハーレム、貧しい人へスープを配るためのキッチン、ハマム、会議室、娯楽施設、法廷、ジャーミィ、王・執事の部屋、武器庫、バックギャモンの部屋などがある。寒いこの地を豊かに暮らすための暖房もきちんと考えられた設計なのだそう。

イサク・パシャ宮殿/ドウバヤズット
壁や門に彫られた、幾何学模様や花やフルーツのモチーフが美しくみとれてしまう。

イサク・パシャ宮殿内部/ドウバヤズット
最果てにあるこの素晴らしい宮殿がここまで立派であるのは、イスタンブールにあった中央政権へ、ドウバヤズットの力を示すという、重要な意味がこめられていたのだ。
2.メテオ・ホール(Meteor Çukuru)

隕石孔・メテオホール/ドウバヤズット
1892年の夜、大きな隕石がアール村近くに落下し、周辺に地震のような揺れをもたらしたとされる。深さ60m、直径35mの大きな穴は、当時の衝撃の大きさを物語っている。アメリカのアリゾナや南アフリカにあるような隕石孔に比べたら、規模は小さめではあるが、それでも間近で見るとすごい迫力だ。
ディヤディン温泉(Diyadin Kaplıcaları)
地震大国トルコには、複数の有名な温泉があり、ディヤディンはその中でも一番東端にある温泉地とされる。さらに温泉があるムラト川沿いは、自然豊かなことでもよく知られている。レンタカーを借りてドライブすると、広大な大地に包まれる気分になる。

ドウバヤズットからアララト山へと向かう道
温泉があるのは、海抜1925mの高原。お湯の温度は70度超だ。トルコ観光省のHPによれば、皮膚病、婦人病、坐骨神経痛などに効能があるのだとか。ドウバヤズットの東にあり、宿泊施設を併設している。
公式サイトには、アクセス方法と電話番号が記載されている。訪れる際はご確認を。
ディヤディン温泉公式サイト
ozden-otel-diyadin-kaplcalar-hotel.business.site
ドウバヤズット名物料理
アブドゥギョル・キョフテ(Abdıgör Köftesi)
別名、「ダイエット・キョフテ(ハンバーグの意)」とも言われるアブドゥギョル・キョフテは、ドウバヤズットに行ったら必ず食べたい名物料理だ。焼く・揚げる、が定番のキョフテだが、このキョフテは珍しく茹でたもの。牛肉か羊肉を2時間ほどかけて、よく叩くことから始まる、なんとも手間のかかる料理だ。数種類のスパイスを混ぜて茹で上げ、ピラウ(ピラフ)と一緒にいただく。あっさりした香り高いトルコのハンバーグをご賞味あれ。
ドウバヤズットのまわり方

イサク・パシャ宮殿とトウバヤズット市内
ドウバヤズットの見どころは、なんといってもイサク・パシャ宮殿。それと、アララト山、ノアの箱舟保護区だ。ドウバヤズット市内からはそれぞれ離れた場所にあるので、あらかじめ旅行会社のツアーに申し込みするのが無難だ。

ドウバヤズット市外は長閑な風景がひろがる
イスタンブール・カッパドキア等の通常の観光ルートを一度旅したのなら、二度目こそは、東部アナトリアを巡るツアーへ参加したいものだ。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。
※この記事は、トルコのとりこ(2020/5/20)をリライトしたものです。
アクセス

夕景のイサク・パシャ宮殿/ドウバヤズット
ドウバヤズットへは、近隣の町アール(Ağrı)空港からバスでアクセスするのが最短だ。バス旅行がご希望なら、イスタンブールやアンカラ等の主要都市発着のバスはあるが、かなり遠い。国内線フライトが安いし早いし安全だ。イスタンブールのサビハ・ギョクチェン空港と、イスタンブール空港から、ターキッシュエアラインズが一日複数便飛んでいる。
東・東南アナトリア地方の旅行について

アール県の安全情報
今回まとめたドウバヤズットは、アール県にある。アール県には”十分注意が出ているが、これはイスタンブールにも出ているレベルと同じだ。アール県はアルメニア国境に近いが、現時点で紛争は起きていない。しかしながら、アルメニアとトルコは昔から因縁関係にあり、アルメニアとアゼルバイジャンとの小競り合いにもトルコが参画したことからも、この地域が必ずしも安全を保障されるものではないことがわかる。旅する際は、外務省の海外安全情報サイトを確認の上、たびレジの登録をし、十分気をつけて旅をしたい。