
必見!イスタンブールにあるヒュッレムとミマール・シナンのコラボ施設・ハセキ・キュッリィエ
公開日 2021年11月1日 最終更新日 2021年11月6日
トルコの大人気ドラマ、『オスマン帝国外伝~愛と欲望のハレム~』、篠原千絵さんの漫画『夢の雫、金の鳥籠』、夢枕獏さんの『シナン』ファンの方には、ぜひ訪問してもらいたい、ヒュッレムとシナンがコラボしたモスクがある。街はずれというか、中心部から離れた場所にあるのだけれど、わざわざでも訪問しておきたいハセキ・キュッリィエ(Haseki Külliye)へ行ってみよう。
その前に…キュッリィエとは?

スレイマニエ・ジャーミィ/イスタンブール・トルコ
キュッリィエとは、慈善事業のための複合施設のことをいうらしい。モスクに隣接して、神学校(イスラム教の学校)、小学校、救貧院、病院、お墓、タブハーネ(寝泊りできる寺子屋のようなもの)、バザール(市場)、キャラバンサライ(隊商宿)などを建て、それらを総称してキュッリィエとよばれている。マンガやドラマの中で、オスマン帝国の皇后たちが力を入れる慈善事業は、トルコ語でワクフとよばれ、それは皇后の力を示すものでもあった。

ブルサ
オスマン帝国が生まれたブルサ市で、初めてキュッリィエがつくられたとされる。国内のみならず、オスマン帝国が支配していた周辺各国にも、ミマール・シナンが建築したキュッリィエが残されていることもある。また、オスマン帝国が生まれる前に建てられたディヴリーイのウル・ジャーミィも、病院、お墓が一緒に建つ複合施設だった。


ハセキ・キュッリィエを訪れるべき理由
ハセキ・キュッリィエは、スレイマン皇帝の妻であるハセキ・ヒュッレム・スルタンの願いによって、ミマール・シナンが建築。ヒュッレムが皇后となった際の持参金で建てられたとされている。さらに、ミマール・シナンが帝国の主任建築士に任命されて初めて手掛けたものなので、これだけでもとても価値が高い、歴史的建造物ということになる。

ハセキ・キュッリィエのモスク/イスタンブール・トルコ
1551年、ヒュッレムによって設立された“Süleymaniye Kütüphanesi(スレイマン図書館)”という名のワクフ(慈善事業団)によって、最初に建設されたのはモスクだった。それ以外の、神学校(イスラム教の学校)、小学校、救貧院、泉、病院の複合施設は、徐々に増やされていくことになる。現在も、一部の施設は会議室などとして現役で活躍しているようだ。マンガ『夢の雫、黄金の鳥籠』の中で、ヒュッレムは図書館に通うのだけれど、ワクフの名前から連想した設定なのだろうかと思ってしまう。

コジャ・ムスタファ・パシャの丘周辺/イスタンブール・トルコ
この辺り周辺は、イスタンブールで最も古い集落の一つで、イスタンブール7つの丘うち、七番目の丘になる。ハセキ・キュッリィエが建設された当時、この辺りは建物があまりなかったそうだ。現在は住宅やお店の密集地で、コジャムスタファパシャの丘とよばれている。周囲には、ハセキの名のつく病院があるが、これらはヒュッレムが提供をした病院の歴史にならい建てられたものなのだそう。
アクセス

トラムヴァイ/イスタンブール
最寄り駅は、トラムヴァイのハセキ駅、またはアクサライ駅。アクサライのヴァーリデ・スルタン・ジャーミィや、少し離れたところにあるイェディ・クレと一緒にまわるのもよいかもしれない。治安面で少し気をつけることが必要だ。
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※この記事は、トルコのとりこ(2019/12/18)をリライトしたものです。