
第2のカッパドキアでグルメと温泉を堪能する旅へ!アフィヨンカラヒサル
公開日 2021年7月30日 最終更新日 2021年9月20日
アフィヨンカラヒサル(Afyonkarahisar)・通称アフィヨンは、グルメな都、温泉保養地として古くから親しまれてきた。地理的には、黒海と地中海地方の中間地点に位置しているため、旅人の”お休みどころ”としての文化が育まれてきた。トルコでも指折りの出荷量を誇るミネラル・ウォーターもある。トルコ人たちの旅先として人気のアフィヨンについて、旅のまとめ。
アフィヨンは癒しの町
アフィヨンがなぜトルコ人観光客に人気なのかといえば、温泉付きホテルに宿泊して、おいしい物を食べられるから。なのだが、あらためて、アフィヨンの人気の理由をあげてみよう。
ケシの花畑

ケシの花畑/アフィヨンカラヒサル
アフィヨンという名前の由来は、アヘンからきている。今でもアフィヨンには、ケシの花畑が広がっていて、モルヒネ等の医薬品製造に重宝されているらしい。
ヒーリング・ウォーター

クズライ・ブランドのドリンク/クズライのHPより
アフィヨンには、天然水と温泉の両方が湧き出ている。しかも、天然水はただの水ではなく、癒しの水として愛飲されているのだ。Kızılay Maden Suyu(クズライ・ミネラル・ウォーター)は、胃腸に効能があるとされる天然水。オスマントルコ帝国皇帝や、トルコ建国の父アタテュルクによって、トルコ版赤十字社・トルコ赤新月社ブランドとなった。アフィヨンのレストランなどでお水を頼むと、だいたいは、このクズライ・ブランドのお水を出される。
他にも、大理石がとれる町で、サワーチェリーが取れる町でもある。資源豊かな町なのだ。
温泉(Termal Kaplıcalar)
日本と同様、トルコも地震大国で、数こそ日本には勝てないものの、それでも温泉はあちらこちらに点在している。ここアフィヨンには4カ所の源泉が湧き出ていて、源泉を引き入れた天然温泉ホテルが充実のラインナップだ。
【効能】
皮膚疾患、リウマチ、肺・肝臓等の内臓疾患
アフィヨンカラヒサル市公式サイトより
無論、水着で入らなければいけない。そうなると、温泉というよりは温水プールに入っている気分になるものだ。それでも、お肌や身体の芯からポカポカ。スパ感覚で長期滞在する人が多いのも、納得である。

ハマムの一例
伝統的なハマム(トルコ式サウナ)を始め、サウナ、クレイ、マッサージ、アロマテラピー・マッサージなどのフルサービスを受けることが出来る、日本の温泉旅館顔負けの充実ラインナップを誇る大型ホテルが多い。
アフィヨンカラヒサル市公式サイト
アフィヨンの観光地
アフィヨンカラヒサル城(Afyonkarahisar Kalesi)

アフィヨンカラヒサル城
高さ226mある天然の火山岩からできたお城で、トルコを旅したことがある人にはお馴染みの、天然岩を使った要塞だ。この城の歴史は、ヒッタイト帝国皇帝・ムルシリ二世の頃までさかのぼる。篠原千絵さんの漫画ファンには、御馴染みのあの皇帝だ。今も、アフィヨンカラヒサルのシンボル的存在である。
イマーレット・ジャーミィ(Imaret Camii)とウル・ジャーミィ(Ulu Camii)

イマーレット・ジャーミィ/アフィヨンカラヒサル
イマーレット・ジャーミィは、アフィヨンで一番大きなジャーミィだ。神学校やハマムも隣接されている、オスマン帝国お得意の複合施設。ねじれたデザインのミナレットがかわいらしい。このジャーミィは、中庭がきれいに整理されていて、散歩しながら写真を撮る人が多い。

アフィヨンのウル・ジャーミィ
トルコには町ごとにウル・ジャーミィ(グランド・モスク)が存在するが、ここアフィヨンにも、ウル・ジャーミィ(グランド・モスク)がある。こちらは木の温もりと歴史を感じさせるジャーミィで居心地がいい。私がトルコを旅する時、疲れたら必ずジャーミィに立ち寄る。異教徒でも、心が落ち着き、ほっとするのだ。
【郊外】フリグ渓谷(Frig Vadisi)

フリグ渓谷/アフィヨンカラヒサル
アフィヨンで一番人気のある観光地が、このフリグ渓谷だ。奇岩のような岩があったり、キリスト教徒が隠れ住んでいたことから、第二のカッパドキアと称されている。写真中央は、アヤズィニ教会(Ayazini Kilisesi)。千年以上前に岩を掘って造られた教会は、周囲にいくつかの部屋を持っている。フリグ渓谷は、アフィヨンカラヒサルで一番の人気観光地であるが、アクセスがあまり良くない。訪れるなら、レンタカーまたはアフィヨンの旅行会社でツアーに申し込む必要がある。
【郊外】エーベル湖(Eber Gölü)

エーベル湖/アフィヨンカラヒサル
エーベル湖には、エーベル・サルス(Eber Sarısı)と呼ばれる固有の花が咲く。日本語で言うなら、「エーベル・イエロー」。甘草の一種で、見られるのはここだけ。エーベル湖には葦が茂っていて、まるで湿原のようになっている。湖の中をボートで遊覧することもできる。フラミンゴをはじめとした渡り鳥の繁殖地として、世界中の愛好家がカメラを片手に集まってくる、注目の湖だ。
グルメな町・アフィヨンが誇るフード4選
アフィヨンは、グルメな町として知られている。アンネ(お母さん)たちが手作りする、温かで素朴で、おいしい物が食べられる町なのだ。絶対食べるべき有名なフードを厳選して4つ記しておく。
1.ペストリー

ビュクメ/アフィヨンカラヒサル
アフィヨンは、アンネ(お母さん)たちが作る、できたてのペストリーがおいしい町だ。代表的なビュクメ(Bükme)は、レンズ豆とじゃがいものペストリー。パタテスリ・エキメイ(Patatesli Ekmeği)は、じゃがいもを練り込んだパンだ。アフィヨンでしか食べられない味なので、町中のベーカリーで焼きたてを購入したら、その場で食べよう。
2.スジュク

スジュク
アフィヨンで最も有名な食べ物といえば、アフィヨン・スジュク(Afyon Sucuğu)かもしれない。トルコの朝食やピデなどに欠かせない、スパイシーなソーセージをスジュクという。アフィヨンの商業施設では、スジュクのシャンデリアがあるほど、アフィヨンが誇る名物なのだ。アルミホイルに包んで焼いた、スジュク・ギョンメ(Sucuk Gömme)は、機会があればぜひ食べておきたいもの。スジュクのドネル・ケバブは、アフィヨンも味わいたい。
3.アフィヨン・ケバブ

アフィヨン・ケバブ
トルコでは、各町ごとに、ご自慢のケバブが存在するが、アフィヨンのケバブは、子羊のケバブ。町で一番の老舗、アシュチュ・バジャックスズ(Aşçı Bacaksız)が名店。スープを染み込ませたピタパン、ピラウ、そして柔らかいラムのお肉は、相性抜群だ。生の玉ねぎ一個を丸ごと、ドン!とテーブルに置かれるので、お口直しにどうぞ。このお店では、↓で紹介する、アフィヨン・カイマクを使ったデザート、カイマクル・エキメキ・カダユル(Kaymaklı Ekmek Kadayıfı)も忘れずにオーダーを。
4.アフィヨン・カイマク

アフィヨン・カイマク
トルコに来たら、一度は食べたい、カイマクのスイーツ。カイマクは、牛乳から作ったクリームで、トルコ全土で愛されている。日本人女子もきっと大好きな味だ。アフィヨンのカイマクは、アフィヨン・カイマク(Afyon Kaymağı )とよばれ、他の地区よりも上質なことで知られている。カイマクル・エキメキ・カダユル(Kaymaklı Ekmek Kadayıfı)は、大きなパンをシロップに浸して、上にカイマクを乗せたもの。ボリューミーなので、これだけでお腹いっぱいになる。

アフィヨン・カイマク・ロクム
お土産に絶対購入するべきなのが、アフィヨン・カイマクル・ロクム(Afyon Kamymaklı Lokum)だ。ロクムは、「トルコのゆべし」で、もちっとした甘いスイーツ。この中に、カイマクを入れたものが、アフィヨンでは大人気。土産の大定番なのだ。中でも、オズタイラン・ヤイラ・シェケルレメ(Öztaylan Yayla Şekerleme)のロクムが一番人気なので、ぜひ試してほしい。
オズタイラン・ヤイラ・シェケルレメ(Öztaylan Yayla Şekerleme)
他にも、Gümbe(ギョンベ)、Sakala Çarpan Çorbası(サカラ・チャルパン・スープ)、Çullama Köfte(チュッラーマ・キョフテ)、Düğülü Haşhaş Tatlısı(デューリュ・ハシュハシュ・スイーツ)、Afyon Keşkeği(アフィヨン・ケシュケキ)、Şebit(シェビット)、Haşhaşlı Pide(ハシュハシュル・ピデ)、Paçık(パチュク)、İlibada Sarması(イリバダ・サルマ)、Zürbiye(ズュルビイェ)など、名物だらけなのだ。
旅慣れた人にも満足な旅を。

アフィヨン市内
アフィヨンは、健康に重きを置いたツーリズムができる町として、町をあげてPRをしている。住民がより健やかであるよう、ウォーキングやランニングに必要な公園も整備済みだ。よく食べ、よく運動し、よく眠る。温泉があって、食べ物がおいしいなら、健やかさはすぐにでも手に入る、ということらしい。日本では知名度は低い町だが、旅慣れた人にだからこそ、提案したいアフィヨンの旅。個人的におすすめな町だ。
アクセス

アフィヨン中心部
アフィヨンへは、長距離バスまたは、鉄道で入るのが一般的。アフィヨンの最寄りの滑走路はトルコ空軍専用で、一番近くの空港は、キュタフヤのZafer Havalimanı(ザフェル空港)。ここアフィヨンを拠点にして、ウスパルタやエイルディルなどの湖水地方、この辺りで一番大きな町エスキシェヒル、陶器の町キュタフヤを巡るツアーに参加するのもおすすめだ。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。
※この記事は、トルコのとりこ(2020/7/20)をリライトしたものです。