
高原も海もグルメも・トルコ黒海沿岸の町オルドゥ
公開日 2020年5月24日 最終更新日 2021年9月30日
オルドゥ(Ordu)県は、アナトリア半島北側、黒海沿岸にある。黒海地方では三番目に大きな町だが、これといって有名な観光スポットがあるわけではない。そのため地球の歩き方にも掲載されていない。でも。トルコ国内では、海も森も両方楽しめるヴァカンス先として人気の旅行先の一つなのだ。海で海水浴を楽しんで、豊かな山々で森林浴とマイナスイオンをたっぷり吸収したら、オーガニックな野菜や果物、新鮮なお魚料理を堪能。そんな極上の休日を過ごせる、秘密のオルドゥへ旅してみよう。
オルドゥ県があるのはここ

オルドゥ県はここ
オルドゥは、黒海に面している町。雄大な自然と背中に抱えながら、目の前には海をもち、はちみつやナッツ類が名産品だ。観光客のお目当ては、オルドゥの郊外にある、トルコ語でヤイラスとよばれる高原と、ユンイェ・ビーチのエリア。中でも、ペルシェンベ高原は、トルコ観光庁がユネスコ世界遺産登録を推し進める絶景の高原。ハイキングやトレッキング好きにはたまらないエリアなのだ。
世界遺産登録間近!?ペルシェンベ高原

ペルシェンベ高原/オルドゥ・トルコ
ペルシェンベ高原(Perşembe Yaylası)は、オルドゥ市内から100km・2時間ほど山側へ車で移動した場所にある。オルドゥ県で一番おすすめの場所だ。このペルシェンベ高原は、トルコ観光省の公式ガイドブックにも掲載されていて、ユネスコ世界自然遺産リスト入り間近と噂されている。

川の流線が芸術的/ペルジェンベ高原・オルドゥ・トルコ
黒海地方には、日本と同じく四季がある。湿潤で木々の緑が豊かなエリアだが、日本と違うところは、こういった広い高原が点在しているというところだろう。

湖のほとりで宿泊と休憩を/ペルジェンベ高原・オルドゥ・トルコ
黒海地方の豊かさを生み出している山々は、ジャニック山脈とよばれる。この山脈にペルシェンベ高原は属しているわけだが、標高は1,500mほどだ。ハイカーが拠点とする湖のほとりには、ホテルやレストランやカフェなどが集まっていて、ここで何日か滞在することも可能だ。周辺では、羊や牛が放牧されている。ここでいただく新鮮なヨーグルトやジンギスカンは観光客に人気のメニューの一つだ。

ラム料理の一例/トルコ
この景色が忘れられない光景になるだろう。
黒海を眺めるドライブ旅
オルドゥ市内でレンタカーを借りて、黒海沿岸をドライブするのもおすすめ。黒海沿いに車を走らせて、ペルシェンベ地区(高原ではない)を経由して、さらに西のサムスン方面へ進んで、ユンイェまで走らせよう。ユンイェには、海水浴で賑わうビーチと、歴史的な建物が立ち並ぶ町並み、発掘が進められている遺跡や城があり、見所が多い。
ペルシェンベの岬とヒュンケル・レストラン

ペルジェンベ岬と灯台/オルドゥ・トルコ

ヤーソン教会/オルドゥ・トルコ
ペルシェンベ高原が山の景勝地なら、こちらのペルシェンベ海の景勝地だ。黒海にせり出した岬と灯台がある。岬の入口には、ヤーソン教会とよばれる古い教会が残されている。

国会を臨むヒュンケル・レストラン/オルドゥ・トルコ
ペルシェンベ地区を出たらユンイェを目指して、車をさらにサムスン側(西)へと走らせよう。途中、道路の右側にあるのが、ヒュンケル・レストラン(Hünker restoran)だ。地元では人気のレストラン・チェーンで、天気の良い日には、海風を感じながらいただくトルコ料理が、とても最高。値段もお手頃だ。
ヒュンケル・レストラン公式サイト
黒海リゾート地ユンイェ

ユンイェのビーチ/オルドゥ・トルコ
海沿いに車を走らせて、右側に長いビーチが見えてきたら、ユンイェ(Ünye)に到着だ。このビーチは、黒海で一番長いビーチで、ヴァカンス滞在に最適なホテルも、街中にはブティックホテルもある。トルコには、地中海とエーゲ海があるためか、ヴァカンスの滞在先としてはイマイチ人気の上がらない黒海だが、最近になって人気が出てきているらしい。この辺りの海は、とても透き通っていて、海だけではなく、山も同時に楽しめることが、人気の理由のようだ。

ユンイェの建築/オルドゥ・トルコ
ビーチに飽きたら、今度は街中の散策へ行こう。オスマン建築のかわいい家々や歴史的なハマム、丘の上からの景色や、エルトゥールル号の記念碑に祈りを捧げてみることもできる。

ユンイェ生活文化遺産博物館/オルドゥ・トルコ
ユンイェ城へ行ってみよう

ユンイェ城/オルドゥ・トルコ
紀元前250年ごろ、ポントス王によって建てられた城(Ünye Kalesi)は、高さ300mほどの天然の一枚岩を掘り抜いて建てられている。間近でみるとけっこうな迫力なのだ。オスマントルコ帝国時代までは、実際に使われていたが、今は観光地に。とはいえ、あまり整備はされていないようなのが残念。この岩には、岩窟墓もある。公共機関では移動できない為、車又はタクシーでアクセスを。
オルドゥ市内を散策
ボズテペ

ボズテペ・ケーブルカー/オルドゥ・トルコ
オルドゥ市内を観光するなら、絶対ここだけは外せないのがボズテペ(Boztepe)だ。ケーブルカーで海抜450mの頂上まで登れば、オルドゥ市内と黒海を一望できる絶景ポイントになる。頂上にはカフェ・レストラン、ピクニックエリアやベンチなどがあって、家族連れでもカップルでも、もちろん一人旅でも十分に楽しめる。

ボズテペからの景色/オルドゥ・トルコ
こうしてみると、豊かな緑と海に囲まれたオルドゥが、いかに恵まれた土地であるかが、よくわかりる。このボズテペでは、パラシュートも楽しめるらしい。観光客がたむろす後ろ側から飛び立つ。勇気がある方は、ぜひ挑戦をしてみては?
タシュバシュ教会

タシュバシュ教会/オルドゥ・トルコ
1853年に建てられたキリスト教会・タシュバシュ教会(Taşbaşı Kilisesi)は、オルドゥ市内の数少ない観光スポットで、現在は文化会館として利用されている。黒海の深い青に映える教会はフォトスポットとしても観光客に人気のようだ。
オルドゥ市郊外の観光スポット
クルル城

クルル城/オルドゥ・トルコ
市内から13km離れた高台では、古代遺跡が発見され、2010年以降発掘が進められている。およそ2300万年前の神殿や城壁( Kurul Kalesi)が発掘されている。大理石のキベレ像などが発掘されていて、これからに期待されている。
ヨロズ・シティ・フォレスト

ヨロズ・シティ・フォレスト/オルドゥ・トルコ
オルドゥ市内から20kmほど離れた場所にあるヨロズ・シティ・フォレスト(Yoroz Kent Ormanı)は、気軽にできるトレッキングポイント。整備された歩道を歩いて、30分~1時間ほど登れば、黒海の豊かな森を一望できる。整備された遊歩道とはいえ、けっこう急こう配な道。スニーカーでOKですが、うっそうとしている森なので、夏は虫対策も忘れずに。売店等はないので、お水等は必ず持参を。
豊かな農産物をお土産に

イチゴ7リラ/オルドゥ・トルコ
オルドゥをはじめとした、黒海地方は、おいしい野菜や果物ふんだんに収穫ができる地域で、オーガニック栽培も盛んだ。ベジタリアン・フルタリアンにはたまらないエリアだ。オルドゥで有名なのは、まずはこの、いちご。日本の改良イチゴには味はかなわないところもあるが、値段は日本の半額以下。市場などで買って、ホテルの部屋で食べるといいかも。そして次に、ハチミツ。

トルコ産コムハニー
トルコの蜂蜜は、巣ごと(コムハニー)食べることが多く、これがとても美味。食べたら、瓶入りの蜂蜜には戻れなくなる。ホテルの朝食等でよく出てくるので、たっぷりとって、ヨーグルトと一緒に食べる。オーガニックのはちみつは、色も香りも味も全然違うものだ。オルドゥは蜂蜜の生産量がトルコでNo.1だ。

ヘーゼルナッツ/トルコ
ヘーゼルナッツもまた、オルドゥの名産品。ヘーゼルナッツメーカーの老舗であるギュルソイは、ここオルドゥを本拠地としている。オルドゥ市内にも店舗を構えているので、見かけたらぜひお立ち寄りを。
穏やかな黒海地方を旅しよう!

オルドゥ市内/トルコ
黒海地方は、日本ととてもよく似ている。気候や食べ物、それに人柄もとてもおおらかで素朴。海と山が町の近くにあって、どちらも同時に楽しめ、人が少ない分、長閑で静かな旅の時間を過ごせるのが大きな魅力だ。掘れば掘るほど魅力あふれる黒海地方は、何度もトルコを旅する人におすすめなエリア。サフランボルやリゼ、サムスンといった、他の黒海地方も訪ねておきたい。
アクセス

ペガスス航空
オルドゥには、飛行機、バス、電車で行くことができる。
フライトの場合、Ordu Giresun Havalimanı(オルドゥ・ギレスン空港)を利用する。空港から市内へはリムジンバスにて。
電車の場合、イスタンブールやアンカラ等からサムスン駅へ行き、サムスンからバスで移動となる。
長距離バスも便利だ。各都市からオルドゥ市内にあるオトガルを結んでいる。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。
※この記事は、トルコのとりこ(2020/5/24)をリライトしたものです。