キリスト教にとって重要な町・イズニックとイズニック・タイル

公開日 2021年8月19日 最終更新日 2021年9月21日

イズニックは、鮮やかなブルーのイズニックタイルで世界的に名を馳せた町。イスタンブールのブルーモスクをはじめ、世界遺産として残る数多くのモスクや、トプカプ宮殿に使われている、あの有名なタイルの生産地であった。陶器の町の称号は、キュタフヤの町に譲ってしまったが、ここイズニックは、古の首都であり、キリスト教公会議が開催され、聖書にも名を残す歴史ある町なのだ。イスタンブールからほど近いイズニックを旅したら案外楽しかった、旅のまとめ。

イズニックはこんな町

イズニックとイズニック湖

イズニックは古代、ニカイアとよばれた町で、キリスト教の権力者が集まり、教義などを審議する公会議が行われる重要な都市であった。

小アジアの北西部にあった古代都市。325年、ローマ皇帝コンスタンティヌス1世がキリスト教会最初の公会議を召集し、三位一体説をとるアタナシウス派を正統とし、アリウス派を異端とした。現在名イズニク。ニカエア。ニケーア。

出典 小学館/コトバンクより引用

ビザンチン帝国時代に、十字軍が首都コンスタンティノープルを占領した際、亡命政権が置かれたこともあった。その後もムスリムの国・ルーム・セルジューク朝の首都となったこともある。そんな華々しい歴史を持つ町は、イズニック湖のほとりにある。この湖は透明度の高い湖として、ピクニックなどにも人気のスポットだ。

イズニック湖畔のレストラン

イズニックタイルで栄華を誇ったこの町には、現在も多くの観光客が訪れる。町の中心には、イズニック時計塔(İznik Saat Kulesi)がある。そこから東西南北に大きくのびる道沿いには、ショップ、カフェ・レストランが集中し、トルコ・ブルーのタイルが購入できるチニ・チャルシュス(陶器屋/Çini Çarşısı)などのお土産屋もある。

代表的な観光スポット

 イズニック城と城壁

イズニック城

紀元前258年ごろに建てられたイズニック城(İznik Kalesi)を守っていた城壁はイズニックの名所である。その長さは5kmにおよび、高さは10~13mほどあったといわれている。城壁には、114の見張り台のような要塞があった。

イズニック城の城壁

城壁は二重構造になっていて、前方の低い城壁にも131の要塞を設けた。この城壁には、町の南にあるイェニシェヒル門(Yenişehir Kapısı)、東にあるレフケ門(Lefke Kapısı)、北にあるイスタンブル門(İstanbul Kapı)、西にあるギョル門(Göl Kapı)と、4つの門がある。

東にあるレフケ門

北のイスタンブル門

レフケ門とイスタンブル門には、3世紀頃にあったとされる戦争の様子が描かれた3つのレリーフがある。ニカイアは、聖書や古代史ではお馴染みの町でもあるので、こういった遺跡にはわくわくする。

イェシル・ジャーミィ

イズニックのイェシル・ジャーミィ

14世紀初頭に建てられたイェシル・ジャーミィ(Yeşir Camii)は、ブルサにあるイェシル・ジャーミィ(緑のジャーミィ)と同じ名前の緑のモスク。規模はブルサよりも小さめだが、緑と青のモザイクとタイルで彩られた内部と、ミナレットが見どころだ。

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アヤソフィア教会

公会議が行われたアヤソフィア教会/イズニック

ビザンチン様式で建築された、レンガ造りのアヤソフィア教会(Ayasofya)は、787年に行われた、第七回公会議の会場であったため、イズニック観光のハイライトとして多くの観光客が訪れる。他の教会同様、オスマン帝国になってからモスクに改築された。長い歴史の中で、火災などにあいボロボロであったが、現政府によって修復され、美しい姿を取り戻した。

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 イズニック湖

イズニック湖

イズニックをさらに楽しむため、このイズニック湖(İznik Gölü)まで足をのばしてみた。特に何があるというわけではなく、ただ地元の人々が水遊びやピクニックをしているだけだったのだが、とにかく透明度が高い湖である。湖畔をドライブしたり、湖沿いのレストランでお茶やご飯を食べたり、のんびり過ごすようだ。

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イズニックタイルについて

イェシル・ジャーミィ/ブルサ

イズニックタイルの最盛期は15~16世紀頃。ブルサのイェシル・ジャーミィとトュルベに使われたのが最初と言われている。当時、イズニックタイルはオスマン帝国の建築において、なくてはならないものであった。白いタイルに描かれた鮮やかな青を中心とした色で描かれる草花や果物の絵は、世界中で高い評価を得た。

イズニックタイルの代表格・チューリップ柄

大英博物館をはじめ、各国の博物館にもイズニックタイルは展示されている。イズニックタイルはその後、17~18世紀頃に衰退し、陶器づくりは、キュタフヤの町に移ってしまい、イズニックタイルの文化は完全に途絶えてしまった。

キュタフヤにあるジャーミィ

近年になり、イズニック財団はその頃に造られていた手法でタイルや陶器の製造を開始。当時のモチーフのみではなく、現代風なアレンジも加えて、芸術的な作品の数々を世に生み出している。食器や花瓶、タイルなど種類豊富。イズニック財団の作品は、イスタンブールのショールームで展示・販売中だ。

イズニックタイルには花鳥が描かれることが多い

また、イズニック市内にも、イズニックの歴史を知ることができる土産物屋がある。日本やトルコのお土産屋や雑貨店で購入できる安価な「イズニックタイル」として販売されているもののほとんどは、キュタフヤ産であることが多いようだ。こちらも素晴らしいタイルや陶器なのだが、イズニックの伝統を求めるなら、イズニック財団を訪れてみてほしい。

イズニック財団のホームページ

イズニック財団の本部とショールームは、イスタンブールにあります。

www.iznik.com

イズニックへのアクセス

イエニカプ停泊中のIDO船

イズニックへは、ブルサやイスタンブールから日帰り旅が可能だ。イスタンブールのイェニカプからヤロヴァ行の高速船(IDO)に乗船。所要90分・26TL(値上げしょっちゅう)。ヤロヴァからは、ドルムシュでイズニックへ向かう。ドルムシュは1時間に1本ほど、12TLで所要1時間。ブルサからは20分に1本出ていて、ブルサから日帰り旅の方が現実的かもしれない。

最後までご覧いただき、ありがとうございます。

※この記事は、トルコのとりこ(2019/9/4)をリライトしたものです。

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