
肉汁&スパイスの魔力!トルコのミートボール・キョフテ
公開日 2021年8月19日 最終更新日 2021年9月21日
キョフテ(Köfte)は、日本でいうところのミートボールやハンバーグにあたる。トルコでもやっぱり、老若男女問わずみんなが大好き。キョフテ専門店は、Köfteci(キョフテジ)とよばれ、町のあちらこちらにある。家庭料理の定番でもあり、ロカンタ(大衆食堂)では、なくてはならないメニューの一つでもある。ランチには、キョフテ+ピラウ(ピラフ/米)かパン、というのも、スタンダードなメニューだ。
キョフテとは?

ウズガラ・キョフテ
キョフテは、中東やギリシャなどの広いエリアで食べられるスパイシーなミートボール。ひき肉、玉ねぎ、卵、パセリ、サルチャ(トマトソース)、にんにく、クミン、パプリカパウダー、唐辛子パウダーなどのスパイス、塩、パン粉などをまぜてねかせ、日本のハンバーグよりも平にして、(だいぶ)多めの油で焼く。ブルグルピラウ(小麦から作ったお米のようなピラフ)やピラウ(ピラフ)、トマトやビベル、ポテトと一緒にいただくのが定番。
キョフテのバリエーション

キョフテ
トルコ中に、またはもしかすると家庭ごとに、〇〇キョフテと名のつくオリジナルのキョフテはたくさんあるようだ。日本のハンバーグもアレンジが自由であるように、トルコのキョフテもまた同じ感覚である。有名なキョフテをいくつかメモしておこう。
イズミル・キョフテ

イズミル・キョフテ
細長くつくったキョフテ、ポテトフライ、トマトなどにトマトソースをかけて、オーブンで焼いたのがイズミル・キョフテ(İzmir Köftesi)。イズミルだけでなく、トルコ中のロカンタでは定番中の定番。野菜もお肉も一皿でバランスよく食べられるので、個人的にこれを選ぶことが多くある。キョフテとトルコ産野菜が一度に味わえて、ピラウにもパンにもよくあう。見た目もバランスよく、これ一品あればランチはお腹いっぱいになる。パンは無料でついてくるわけなので、実質、イズミル・キョフテさえ頼めばランチは最高である。
豆知識トルコのロカンタで注文するとき、半人前の量にしてもらうことができます。「ヤルム、リュトフェン(半分にしてください)」と伝えるだけ。スープもキョフテもサラダも、全部これで対応できます。同時に、左手のひらを右手で半分にするジェスチャーも加えられたら、完璧にトルコ人たちに喜ばれます。
ウズガラ・キョフテ

キョフテ専門店は格別の味
ウズガラ(Izgara)とは、グリルの意味で、BBQのようにして焼き上げる。油であげず、直火でやいているので、こちらの方がヘルシーだ。だいたいこうして直火で焼くので、肉汁がじゅわっとくる。
ブルサのキョフテ2種

イネギョル・キョフテ

ピデリ・キョフテ
ブルサ発祥の、イネギョル・キョフテ(İnegöl Köftesi)とピデリ・キョフテ(Pideli Köftesi)。ピデリ・キョフテは、ピデとよばれるパンの上にキョフテをおいてトマトソースでいただくもの。イネギョル・キョフテは、牛肉とラム肉をミックスし、炭酸塩をいれて20分近くこねて一晩おき、翌日焼き上げる。こちらは、独特のガムのような食感が特徴的で、美味だ。
イチリ・キョフテ

イチリ・キョフテ
イチリ・キョフテ(İçli köftesi)は、イスタンブールの新市街などでも食べ歩きもできるファーストフードであり、家庭料理でもある。中東全域、特にシリアでよく食べられている。カリカリ触感の衣と、スパイシーなひき肉と玉ねぎを炒めた具が、相性抜群。トルコ版コロッケともいわれている。

イチリ・キョフテ

イチリ・キョフテ
香ばしさとこの歯ごたえが病みつきになるその秘訣はこの衣にある。小麦粉だけでなく、ブルグル(ひきわり小麦)をまぜているので、舌触りよくカリカリな食感。ブルグルは、粒々のパスタで、トルコではブルグルは頻繁に料理に使われる。中の具材は、牛ひき肉、玉ねぎ、くるみ、パセリ、ビベルペーストを炒めたもの。最近では、中にチーズが入っているものがあって、割るととろっと出てくるチーズがたまらない。いずれも、いかにもトルコらしい味付けで、日本人も大好きな味だ。
チー・キョフテ

チー・キョフテ
チー・キョフテ(Çiğ Köfte)は、チー=生の意味で、牛肉またはラムを使った生肉団子だ。生食用にきちんと配慮された新鮮な牛肉とラム肉を使っていて、ブルグル(ひきわり小麦)や玉ねぎ、パセリ、唐辛子とトマトペースト、ミント等のハーブと一緒に団子にしたもの。主に南東アナトリア地方で食べられている。
肉なしチー・キョフテ

ブルグル・チー・キョフテ
似て非なるものとして、お肉の入っていないチー・キョフテ(Etsiz çiğ köftesi)がある。同じく南東アナトリア発の料理で、ブルグルとよばれる”ひきわり小麦”とトマトペーストで作るものだ。前菜として、レモンをしぼり、レタスに包んでいただく。あっさりしていて食べやすく何個でも食べてしまうが、野菜ではなく小麦なので食べ過ぎに注意だ。
キョフテの名店・セリムウスタ/イスタンブール

セリム・ウスタ/イスタンブール

セリム・ウスタのキョフテ
個人的に、大変おすすめなキョフテが食べられるお店をメモしておく。どこでキョフテを食べても、ここには勝てない、と思っている。イスタンブールのスルタンアフメット地区にあるキョフテ専門店、セリム・ウスタだ。付け合わせのビベル(ししとうのような野菜)のピクルスと、肉汁たっぷりなキョフテが最高だ。
キョフテジ・セリム・ウスタ公式サイト
日本でもキョフテを作ろう

キョフテ・サンド
日本のミートボールと違って、ソースは一切かけず、濃いめに下味をつける。スパイスの香りと臭みないお肉の肉汁が最高である。キョフテの場合、パンかライスがお皿に一緒に盛られているか、または別についてくるので、これだけでお腹いっぱいになる。

トルコのスパイス店

トルコのスパイス店
スパイス・バザールなどで、「キョフテ用のスパイスをください」と頼めばその場で調合してくれる。トマトペーストとともに持ち帰れば、日本でもトルコの味を楽しめる。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。
※この記事は、トルコのとりこ(2019/7/20)をリライトしたものです。