トルコにある赤いカッパドキア!?交易の町エルズルム

公開日 2021年11月7日 最終更新日 2021年11月7日

エルズルム(Erzurm)は、古代から交易の町として栄え続け、いつの時代も国同士の争いに巻き込まれ続ける重要な都市だった。トルコ人たちにとっては、建国の父アタテュルクがトルコ建国の重要な第一歩を踏み出した町の一つとしているようだ。日本ではあまり知られていないエルズルムだが、実は観光資源がとっても豊富。近年人気急上昇中の「赤いカッパドキア」も見逃せない。エルズルムを旅したい魅力をまとめてみた。

エルズルムについて

エルズルムがあるのはココ

東アナトリア地図

パラドーケン山の麓にある町エルズルムは、東アナトリア地方で3番目に大きな町。なのだけれど、夏でも最低気温はマイナスを記録するほど寒いとされる地域で、観光客が一番集まるのは冬のようだ。パラドーケンスキー場は、世界的に雪質の良さで知られ、冬期オリンピック開催地としても名乗りを上げている。

歴史と文化の残る町

エルズルム城と時計塔

旧石器時代にさかのぼる遺跡も発見されているエルズルムは、アナトリアでも古い集落があったとされている。イルハン朝時代の神学校やキュンベットとよばれるお墓が残されていて、特に神学校はエルズルム市内で一番素晴らしい建造物とされているようだ。その後もシルクロード上の交易の町として栄え、さまざまな歴史や文化や事件が通り過ぎた町なのだ。

赤いカッパドキア・ナルマンの妖精の煙突

ナルマンの妖精の煙突/エルズルム・トルコ

最近になって、トルコ人旅行者に人気になっている「赤い妖精の煙突(Narman Peribacaları)」こと、ナルマン町の赤い奇岩群。カッパドキアの奇岩群は、もはや誰もが知る世界遺産だが、こちらはまだまだ穴場的存在。「東のカッパドキア」とも呼ばれているそうだ。

ナルマンの妖精の煙突/エルズルム・トルコ

カッパドキアと大きく違うのは、この台地の真っ赤な色。現在、このナルマンの妖精の煙突を、世界ジオパークに申請しようという動きがあるようだ。「もっとエルズルムに来て欲しいな~」という想いでの動きのようですが、実現するといいですね。

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エルズルム市内の観光スポット7選

1.チフテ・ミナーレリ神学校

チフテ・ミナーレ神学校/エルズルム・トルコ

チフテ・ミナーレリ(Çifte Minareli Medrese)とは、2本の塔があるという意味で、その名のとおり2本の塔が特徴的。この神学校はエルズルムのシンボルともなっている建物で、エルズルム観光で絶対外せないスポットとなっている。13世紀後半ごろ、イルハン王朝時代に建てられたものとされる。チフテ・ミナーレリ神学校と名のつく建物は、実はトルコ国内に複数個所あるのだが、エルズルムのチフテ・ミナーレリが一番壮大で彫刻が緻密で美しいとされているらしい。

チフテ・ミナーレ神学校/エルズルム・トルコ

神学校の内部には広い中庭があり、1階と2階に生徒と教師の部屋がそれぞれ用意されています。石にほどこされた動植物をモチーフとした装飾が本当にすばらしく、入口付近の門と、門の上部、内部の柱、そしてターコイズブルーに装飾されたミナレットは必見。絶対にカメラにおさめずにはいられなくなります。

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2.ユクティイェ神学校

ユクティイェ神学校/エルズルム・トルコ

ユクティイェ神学校(Yakutiye Medrese)もまた、イルハン王朝時代の1310年ごろに建てられたものとされている。中庭はなく、全体が屋根で覆われた神学校としては、アナトリアで最大規模を誇る。このユクティイェ神学校の特徴といえば、なんといっても写真左奥のミナレット。イスラム教を象徴する幾何学模様と、色鮮やかなターコイズブルーが頭の片隅にずっと残る。ミナレット以外にも、石に刻まれた見事な動物のモチーフも見所の一つになっている。

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3.ユチ・キュンベット

ユチ・キュンベット/エルズルム・トルコ

ユチ・キュンベット(Uç Kümbetler)とは、3つの墓という意味になる。いずれも12~14世紀頃に建てられたものとされ、そのうち、写真奥にある最も大きなお墓は、この地域を支配していたエミール・サルトゥクのものとされている。この三角錐の屋根はイルハン王朝時代に建築された建物に見られる特徴で、アルメニア正教会などにも見られ、鉛筆みたいでかわいい。牛・ヘビ・コウモリ・ワシといった動物のモチーフを探してみよう。

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4.エルズルム城

エルズルム城/エルズルム・トルコ

エルズルムは、古代からシルクロード上にある重要な交易都市だった。そのため、長い歴史の中で多くの国の支配と侵略を繰り返されてきた。歴史の中枢を担ってきたエルズルム城(Erzurum Kalesi)は、2500年ほど前に建てられたとされ、現在のものに繋がるエルズルム城が造られたのは、ビザンチン帝国時頃。東ローマ帝国皇帝テオドシウスによって建てられたとされる。その後、オスマン帝国時代に補強され、現在見ることができるエルズルム城となったのだそう。

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5.ターリヒ・エルズルム・エヴレリ

ターリヒ・エルズルム・エヴレリ/エルズルム

「歴史的なエルズルムの家(Tarihi Erzurum Evler)」という名の通り、エルズルム市が復元させた、伝統的なエルズルムの石造りの家々はぜひとも見ておきたい。複数軒復元されていて、ちょっとした町のようになっている。これがとっても雰囲気が良くおすすめ。暖炉やタンドール(パンを焼く釜)、長いソファなどが設置されていて、インテリアや絨毯も本格的に復元している。古代の家へタイムスリップした気分になれる、ワクワクする場所だ。町のど真ん中にあって、カフェ・レストランもあるので、ゆっくり楽しめる。

時計塔から見たエルズルム市内

ちなみに、その後ろに見えているのがエルズルムの時計塔だ。時計塔からはエルズルム市内が一望できる。

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6.エルズルム・ウル・ジャーミィ

エルズルム・ウル・ジャーミィ

グランドモスクという意味のウル・ジャーミィ(Erzurum Ulu Camii)は各都市ごとに必ずあって、エルズルムのウル・ジャーミィは、1179年頃この地を支配していたサルトゥック家によって建てられたもの。切り出された石でつくられたモスクは歴史的にとても貴重で、石造りのモスクは雰囲気抜群なのだ。

画像:トルコ文化観光省

ウル・ジャーミィには1つのドームがあって、中から見るとツバメの巣のようになっていることから、ツバメドームと呼ばれているそうだ。(↑写真のリンク切れ時はごめんなさい)

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7.エルズルム・ジェット

エルズルム・ジェット

イギリスのビクトリア女王が身に着けたことで話題になったジェット(黒玉)。ここエルズルム産のものは高品質なことで知られ、エルズルム・ジェット(Erzurum Oltu Taşı)と称されている。

エルズルム・ジェット

エルズルムの町中には工房もあって、アクセサリーが造られていく様子を見学することもできる。樹々の幹の化石である黒玉。輝きを放つとても美しい天然石だ。日本で買うジェットは、どちらかと言えばパワーストーン的な位置づけで安価だけれど、エルズルムのジェットはより高価で高品質な感じ。これは立派な宝石だ。

タッシュ・ハン/エルズルム・トルコ

ジェット・アクセサリーのお店は、街中のタッシュ・ハン(リュステム・パシャ・ベデステニ)にある。このタッシュ・ハンも1535年に建てられている歴史的建造物で、ジェット・アクセサリーのほか、銀細工製品も購入できる。

パランドーケン・スキー場

パランドーケン・スキーリゾート/エルズルム県

世界スキー連盟の認定を受けているパランドーケン・スキー場(Palandoken Kayak Merkezi)は、実際に世界大会が開催されるほど本格的なゲレンデコース、設備、施設を有しているそうだ。実際、オリンピックの開催も可能で、冬期オリンピックに立候補もしている。スキー場近くに5つ星2つ、4つ星1つ、3つ星ホテルと2つ星ホテルが1つずつある(トルコ政府認定のランク付け)。冬はマイナス40℃以上にもなるエルズルムの町。パランドーケンまで、冬は市営バスが多く走っているので、アクセスも抜群。毎年11月~4月頃までパウダースノーが楽しめる。

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エルズルムの名物料理2選

1.ジャー・ケバブ

ジャー・ケバブ/エルズルム・トルコ

ジャー・ケバブ(Cağ Kebabı)は、ジャーと呼ばれる串にさして焼かれるケバブ料理の一種。ぐるっと巻かれた羊肉を薪をくべた火であぶり焼きにしていく。焼けたところからそぎ落としていただく、エルズルムが発祥とされる伝統的な肉料理だ。

2.ジビル・チーズ

ジビル・チーズ/エルズルム・トルコ

ジビル・チーズ(Civil Peynir)は、スキムミルクからつくられる脂肪分の少ないチーズで、細長い繊維状の形と、少し塩辛くて溶けやすい性質を持っている。パンやパイに入れていただくのが一般的。日本でいうところの『さけるチーズ』に似た感じで、もっと口当たりがよい。エルズルムでは、このチーズを入れ込んだパンをベーカリーなどで見かけることが多い。東アナトリアと黒海地方で多く消費され、日持ちがしないタイプのチーズだ。

まだまだあるエルズルムの魅力

イエニ・チョバンデデ橋

チョバンデデ橋/エルズルム・トルコ

イエニ・チョバンデデ橋(Yeni Çobandede Köprüsü)とは羊飼いのじいさんの橋というおもしろいネーミングだ。この石橋は約800年前、イルハン王朝時代に架けられたらしい。シルクロード交易でアラス川を渡る際、とても重要な役割を果たしてきた石橋だ。何度か修復を重ねて今の姿を保っている。橋の足元には、ジュニパーの木が使われているそう。ジュニパーって確かジンの香りづけに使われたり、アロマでは薬効成分が強いものとして使われているもの。

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トルトゥムの滝

トルトゥムの滝/エルズルム・トルコ

トルトゥルムの滝(Tortum Şelalesi)は、トルコで最大規模を誇る滝。幅は21メートル、高さは48メートルあり、水力発電に利用されているそうだ。ラッキーなら、滝つぼに虹が見られるかもしれない。

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アクセス

エルズルム

エルズルムは、東アナトリアで大きな町なので、飛行機・バス・鉄道いずれの方法でもアクセスが可能。
冬期オリンピックの観戦に来るチャンスがあるかもしれないのだけれど、冬はマイナス40℃くらいの極寒。夏のちょうどよい涼しい季節に遊びに行きたいものだ。

エルズルム空港公式サイト

www.dhmi.gov.tr

トルコ国鉄TCDD公式サイト

www.tcddtasimacilik.gov.tr

エルズルム・バスターミナル

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最後までご覧いただき、ありがとうございます。

※この記事は、トルコのとりこ(2020/2/27)をリライトしたものです。

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