実は聖地!イスタンブール・ピエール・ロティの丘で朝食を

公開日 2021年10月22日 最終更新日 2021年10月22日

ピエール・ロティ?という疑問から入るこの丘は、多くの人が訪れる名所の一つ。フランス人軍士官であったピエール・ロティは、日本にも駐在していたことがあり、フランス文学界では有名な小説家なのだそう。士官として各国を転々としながら、駐在先で自伝的ロマンス小説を書き綴っていた彼は、イスタンブールをこよなく愛していたそうだ。彼が住んでいたイスタンブール市内のエユップ地区にある丘は、ピエール・ロティの丘(Pierre Loti Tepesi)と呼ばれ、ピエール・ロティのカフェ・レストランとともに、イスタンブール観光の名所となっている。

ピエール・ロティとは

ピエール・ロティ/Wikipedia

ピエール・ロティ(Pierre Loti 1850年1月14日−1923年6月10日)はフランスの作家。本名はルイ・マリー=ジュリアン・ヴィオー(Louis Marie-Julien Viaud)。フランス海軍士官として世界各地を回り、その航海中に訪れた土地を題材にした小説や紀行文、また、当地の女性との恋愛体験をもとにしたロマンチック小説を多く書き残した。

(wikipediaより引用)

ピエール・ロティは、中でも特にイスタンブールがお気に入りだったらしい。フランス軍士官として、プライベートで、何度も訪れていたロティがイスタンブールで見聞きした情報を元に書き上げた小説『アジヤデ』は、彼がイスタンブールで出会った女性に贈った自伝的なロマンス小説で、この小説がフランス文学界で高い評価を得ることになり、ロティは小説家として活動することになる。

ピエール・ロティの丘から見た景色/イスタンブール・トルコ

イスタンブール滞在中、ロティが住んでいたのは、エユップとよばれる地域。エユップは、イスタンブールのヨーロッパサイドにあり、丘の上には、金角湾が一望できるチャイハネ(紅茶屋さん)があったらしい。このチャイハネで、彼はアイデアを書き綴っていたらしい。それが現在、ピエール・ロティの丘とよばれるエユップ地区にある丘だ。

ピエール・ロティの丘があるエユップ地区

イスラム教徒以外には景色で有名

ピエール・ロティの丘/イスタンブール・トルコ

ピエール・ロティの丘があるのは、イスタンブールのヨーロッパサイドの、少し上の方。金角湾がマルマラ海に向かって流れ拡がる様子を眺めることができる、絶好の場所だ。ここから見る金角湾の景色は朝焼けも日中の青さも、夕焼けも、夜景も美しいことで知られている。

ピエール・ロティの丘/イスタンブール・トルコ

ピエール・ロティの丘には、ケーブルカーを使っていく。ほんの5分ほどで到着するのだが、いつもケーブルカー乗り場は行列になっているので、どれだけこの丘が人気かがわかる。

エユップのケーブルカー/イスタンブール・トルコ

ケーブルカーから眼科を見下ろせば、すべてお墓。丘全体がお墓で埋め尽くされている、異様な景色…。ケーブルカーを降りて実際に歩いてみると、石畳で整備された歩道はとても歩きやすく、空気も澄んでいる。

なぜお墓だらけ?イスラム教の聖地エユップ

他の地区に比べて、古くから住み続けている人が多い地区の一つで、古い街並みが残っていることでも知られているエユップだが、これには理由があるらしい。

ピエール・ロティの丘/イスタンブール・トルコ

その昔、ここエユップ地区は、城壁の外に位置していたため墓地として利用されていたらしい。エユップ地区が、多くのイスラム教徒の巡礼先となるのは、コンスタンティノープルを陥落させた、オスマン帝国皇帝・メフメト二世以降のこと。

エユップ・スルタン・ジャーミィ/イスタンブール・トルコ

その理由は、ここ、エユップ・スルタン・ジャーミィにある。メフメト二世の命によって建てられたモスクは、アブ・アイユブ・アル・アンサリ(Abu Ayyub al-Ansari)のために捧げられたものだ。

エユップ・スルタン・ジャーミィ/イスタンブール・トルコ

彼は預言者ムハンマドの親友とされる人で、ここイスタンブールで赤痢によって亡くなったとされている。亡くなった後、ムハンマドの聖遺物とともに埋葬地であったエユップに葬られたそうだ。

エユップ・スルタン・ジャーミィ/イスタンブール・トルコ

このモスクが建設されて以降、「彼の近くに埋葬されたい」という希望者が後を絶たず、今のようなお墓だらけの丘となったらしい。思い浮かんだのは、空海のそばで眠りたいと願った多くの武将や有力者たちのお墓が高野山に並んでいるのと状況が同じだろう。そう言った理由で、この地はイスラム教徒にとっての聖地となった。

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ピエール・ロティで朝食を!

ピエール・ロティの丘/イスタンブール・トルコ

ムスリムではない旅行者にとって、ピエール・ロティの丘に行く目的の一番目は眺望の良いカフェとレストランだろう。トルコでは、朝ごはんはとっても大切で、休日の朝は家族でゆったりとカフェやレストランで過ごすことが多いそうだ。その朝ごはんをこの丘にあるレストラン”ピエール・ロティ”でいただくのが人気。

メネメン

メネメンとよばれる、たっぷり卵とジューシートマトのシンプルな料理を、バゲットにつけながら食べると最高の朝食になる。カフェやレストランは何軒か並んでいる。

ピエール・ロティ・カフェ(Pierre Lotti Kahvehanesi)

Pierre Lotti Kahvehanesi

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夜景や夕景がやっぱりきれいな丘

ピエール・ロティの丘からの夜景/イスタンブール・トルコ

空気の澄んだ夜は、特に美しい夜景が自慢のピエール・ロティの丘。トルコ語で「ピエール・ロティ・テペシ」と言う。テペシ=てっぺん=丘、の意味があるので、〇〇テペシという名前は丘の頂上を意味するため、イスタンブールを囲む小高い山々にはそれぞれ名前がついている。チャムルジャなどの丘も美しい夜景で知られているが、ピエール・ロティの丘の夕景や夜景もすばらしい。

エユップ・スルタン・ジャーミィ/イスタンブール・トルコ

カップルでもファミリーでも、よき思い出になりそう。

アクセス

エユップのケーブルカー/イスタンブール・トルコ

ピエール・ロティの丘へ向かうのが今まで面倒だったのだけれど、新しくできたトラムヴァイのT5路線に乗車すれば、ケーブルカー乗り場は目の前。ケーブルカー乗り場は、モスクのすぐ横にある。乗車時間は5分ほどで、イスタンブールカードが利用できる。

トラムヴァイ/イスタンブール

トラムヴァイのT5路線に乗車、Eyüpsultan Teleferik(エユップスルタン・テレフェリッキ)駅で下車。
道路を渡った反対側にピエール・ロティの丘に行くケーブルカー乗り場がある。
いずれもイスタンブールカードで乗車可能。

イスタンブール交通局公式サイト

www.iett.istanbul

 

 

 

 

 

最後までご覧いただき、ありがとうございます。

※この記事は、トルコのとりこ(2019/10/24)をリライトしたものです。

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