
【トルコの伝統文化】トルコ絨毯とは?
公開日 2021年1月7日 最終更新日 2021年9月26日
トュルク民族は元々遊牧民族で、絨毯はなくてはならない存在であった。絨毯を作ることで家計を支えるお母さんたちもいる。数多くのメーカー品を取り扱う絨毯専門店ではなく、工房を直接訪れることは、トルコの文化伝統を知る上で、とても有意義なものだ。驚くほど上手な日本語と、空飛ぶ絨毯も見られる。日本では詳しく解説されていない、トルコ絨毯の特徴と作り方をまとめてみた。
絨毯の歴史とヘレケ
絨毯の歴史

織り機と絨毯
絨毯の歴史は、先史時代(紀元前3500年ほど前)までさかのぼる。現在の中東からコーカサス地方にかけての地域が、絨毯の発祥地とされる。トュルク民族・セルジューク朝もその辺りの民族であり、彼らが侵攻してきた後から、本格的な絨毯文化が現在のトルコに広まっていった。オスマン帝国時代の頃までに、現代の絨毯織りに繋がるための技術が確立されてきたそうだ。
最高級ブランド・ヘレケ

ヘレケのオールド絨毯
オスマントルコ帝国時代、帝国初の民間絨毯工房であるヘレケ村の絨毯工房が、スルタンの勅令により、ドルマバフチェ宮殿の絨毯やカーテンなどのファブリック全般を用意することとなった。その後も、スルタン後援の下で名声を保ち続け、今もなお、トルコ最高級ブランドの名を維持している。

ダブルノット製法
トルコ独自の「ダブルノット」製法は、ヘレケによって始まったとされ、そのデザインも、ペルシャの影響を受けない独自のデザインだ。その伝統と文化は、他の手織り絨毯工房にも引き継がれている。
トルコ絨毯の種類

絨毯の一例
トルコ国内で、伝統的製法によって作られた絨毯のみが「トルコ絨毯」と称されるわけではない。商業用の安価な絨毯と、伝統的な高価な手織り絨毯の総称が「トルコ絨毯」である。トルコ家庭で使われる絨毯の中にも、安価な機械織りは多く出回っているということだ。日本でも人気の、イギリス生まれのウィルトン織、アメリカ生まれのタフテッドは、いずれも17~18世紀頃に生み出された機械織りで、商業用に分類される。

日本では絨毯というよりカーペット
ウィルトン織やタフテッド、そのどちらもトルコ国内でも生産されている。それも「トルコ絨毯」として販売されているのだ。使われている糸は化学繊維であることが多く、トルコ国内で消費されることはもちろん、海外にも輸出されていて、観光客向けのお店でも販売されている。値段が安い上、デザインもトルコ絨毯っぽいので、手に入れやすく、お土産にも良いものだ。
伝統産業を守り抜くために

絨毯工房
量産しやすい商業用の需要と共有が増大し、伝統的な絨毯織り手が少なくなってしまった。このことに危機感を感じた、トルコ政府の国家教育省は、「TÜRKİYE EL DOKUMA HALI(トルコ手織り絨毯)」の織り手となるための、生涯学習コースを設置。それは、織り手となるための、重要な資格となった。このプログラムを修了した織り手さんたちが、一枚一枚丁寧に、何時間・何日・何年と次官をかけてもかけて織り込む芸術的作品となる。
手織り絨毯工房の広がり

トルコの絨毯屋さん
トルコ中に絨毯工房が点在しているが、手織り絨毯の工房が一番多い地域は、中央アナトリアだ。特に、コンヤとカッパドキア地方に集中している。
ペルシャ絨毯・段通(だんつう)との違い

絨毯の糸を1本ずつ通す細かな作業
トルコ絨毯の大きな特徴としては、「ダブルノット」とよばれる織り方だ。縦糸二本それぞれに結び目を作る独自の製法で、これによって他の絨毯よりも丈夫で長持ちする。かの有名なイランのペルシャ絨毯と、中国生まれの毯子(タンツ:日本では段通(だんつう)は、この結び目が一つである「シングルノット」。決して安くはない買い物だから、それぞれの違いを知り、良いものを選びたい。
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※この記事は、トルコのとりこ(2019/1/1)をリライトしたものです。