
トルコの高級手織り絨毯・チナール・ハルの絨毯ができるまで
公開日 2021年7月28日 最終更新日 2021年9月21日
チナールハルは、トルコ・カッパドキア地方の絨毯メーカー。カイセリに本社を置き、トルコ各地の直営店でも販売されている。ツアーであれば、カッパドキアの販売店に行くことが多いかもしれない。この工房では、シルクを使った絨毯において、アメリカにて、絨毯業界で最高の賞を受賞しているらしい。その品質へのこだわりと、作り方を教えてもらったので、まとめておこう。
前準備
専門の職人によるデザイン画
手慣れた手つきで、とても簡単に描いているように見えるが、これも職人技。とても真似できない。描く線画一つ一つに込められた意味があるそうだ。絨毯を購入した際、どのような意味があるのかを、説明してもらえる。
織り機一つ一つに、縦糸を通す
織り機に縦糸をつけていく。これもまた重労働で大変な仕事だ。この後、織り手さんが横糸を通していくための、大切な作業でもある。
1.糸を紡ぎ、色を入れる
蚕をお湯でボイルし、専用のコームでほぐしながら、糸を紡ぐ。ツアーでも、御蚕さんをほぐしていく説明をしてくれる。25gの繭から、1200mの繊維がとれるらしい。ただし、品質がまばらになることから、絨毯用には、一番良い繊維のみ、500~600mほどのみ利用するそうだ。贅沢なものだ。
紡がれた糸に色を入れる。入れた色ごとに、色見本を作っていき、それを見ながら織り手さんが紡いでいくことになる。
編み込んで仕上げる
2.織り手さんが編み込む
2本の縦糸に、八の字で横糸を通していく、「ダブルノット」という製法で編み込んでいく。不器用な私には、何度見ても何をどう通しているのかわからなかった…。ダブルノット製法で、やわらかく仕上がり、踏んでもペットが噛んでも穴があきにくい、耐久性のある丈夫な絨毯になるそう。
織り機の上にあるデザインを見ながら、糸を選んで編み込み、横一列が終わったら、締め糸を一本入れてほどけなくし、専用の鉄の道具で、上からドンドンと叩いて詰め込む。一定の力で叩かないと、絨毯の模様がズレてしまい、綺麗な絨毯に仕上がらない。「アイツめ!」という、よくあるただのストレス解消で叩く…とはいかないようで、気の抜けない作業が続く。
はみ出た横糸の毛足は、絨毯専用の鉄ハサミで切る。切り取られた糸は、捨てずにクッションや枕に再利用しているそうだ。
シルクの絨毯は、1cmにつき、少なくとも50回以上、多いものだと500回ほどは結ぶ。回数が多いものほど、芸術性が高い絨毯となり、額縁に入れて飾る作品となる。「家庭用の絨毯」の域を超えて、芸術作品とされる理由は、こういった織り手さんの努力によって生み出されていくのだ。
コットンやウールの絨毯は年間を通じて18度、シルク絨毯は年間を通じて14度の温度をキープするとされている。夏でも触り心地は少しひんやりしていて、肌触りが良いものだ。
3.絨毯裏面の余分な糸のカット・洗浄
織り手さんが織りあげた後、余分な繊維を取って、洗浄し、耐久性をつけて出荷する。のだが、そんな手荒な方法でやって大丈夫なのか?心配になるほど、大胆に水と火を使って処理をする。こうしてチナール・ハルのショールームへと向かう。
チナール・ハルのショールームは、イスタンブールとカッパドキアにある。
チナールハルの作り方を動画で
オフィシャル・ムービー
日本人のような日本語・アハメットさんの解説
※日本語で絨毯を説明させたら、トルコ一のアハメットさん。彼女募集中。
ツアーでは、繭で糸を紡ぎ、織り手さんが横糸を通していく工程を見学した後、じょう舌すぎるトルコ人の「空飛ぶ絨毯」説明を聞く。この動画は、見えなかった裏の方まで見ることができる。こんなにもたくさんの人が関わっていて、この手間がかかる工程を見たら、きっとトルコ絨毯の安さに驚くはず。
織り手さんは、今日も絨毯を織り続けている。
カッパドキアから世界へ

チナール絨毯工房のみなさん
チナール絨毯にご興味がある方は、お問合せからご連絡ください。お写真や動画で絨毯をお選びいただき、お送りすることができます。支払いは原則到着後となり、関税・消費税は絨毯工房負担です。
※私のほうでは一切コミッションをとっていませんので、ご安心を。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。

※この記事は、トルコのとりこ(2019/1/1)をリライトしたものです。