
トルコののびるアイスとドンドゥルマ
公開日 2021年8月4日 最終更新日 2021年9月20日
トルコののび〜るアイスは、毎年夏になるとファミマに登場する”トルコ風アイス”のおかげもあって、日本でもだいぶメジャーになってきた。トルコ語でアイスクリームは、ドンドゥルマといい、外資メーカーと国内メーカーが競っている(と思う)。のびるトルコアイスは、マラシュ・ドンドゥルマが正しい言い方なのだ。知られざるトルコの「のびるトルコアイス」を深堀りしてみよう。
ドンドゥルマとのび~るアイスの違いとは
ドンドゥルマは、トルコ語でアイスクリームや”氷菓”を意味するようだ。そのため、スーパーでよくみかけるこんなアイスも、ドンドゥルマ。

トルコ版パルム・マグナム
スーパーで売られているアイスは、欧米メーカーのものと、トルコ国内メーカーのものがあって、どちらも、チョコレートやピスタチオなどがメインの味で、日本のアイスクリームと同様、美味しい。

3種のドンドゥルマ
もちろん、アイスクリーム屋さんのこんなアイスも、ドンドゥルマだ。
のび~るアイスの正体

マラシュ・ドンドゥルマ
ドンドゥルマのうち、のびるアイスは、マラシュ・ドンドゥルマ(Maraş Dondurma/マラシュアイス)とよばれている。サーレップ(Salep※)という粉末が入っていて、それが独特の風味と粘りを出すのだ。

パフォーマンスが楽しいアイス屋さん
トルコ各地で見られるアイスクリームの露店は、このマラシュ・アイスクリームを販売している。ドンドゥルマジュとよばれるアイス屋のおもしろパフォーマンスは、イスタンブールのみならずトルコ各地で、または、日本でも、羽田空港内のトルコ料理店や、トルコ関連のイベントで楽しめる。
サーレップとは?

冬の定番・サーレップ
※サーレップとは…ラン科オルキス属の植物の根を粉状にしたもの。ミルクとシナモンでつくるサーレップのドリンクは冬の大定番。昔から、身体を温める飲み物として、世代を超えて愛されている。トルコでは、ココアよりサーレップがうまい。
ドンドゥルマが誕生前の氷果
オスマン帝国時代の氷菓といえば、カルサムバチ(karsambaç)とよばれるソルベであった。当時はまだアイスクリームはなかったようだ。ドラマ『オスマン帝国外伝』にも登場していた。カルサムバチではないのだが、同じくオスマン帝国時代にも食べられていた、ビジビジとよばれるかき氷を食べる習慣は残されている。

ビジビジ
日本のかき氷との違いは、氷は澱粉入りであることと、バラシロップをかけて、氷砂糖をいれるところだ。トルコ国内でも、高温となる南東アナトリア地方(アダナやメルスィン)の名物だ。
マラシュ・アイスクリームの作り方

ピスタチオのドンドルマ
のびるアイスに使うミルクは、牛ではなく山羊ミルクだ。トルコ東部のカフラマンマラシュ(Kahramanmaraş)という町近くにあるアーヒル山で育てられた山羊のミルクは、タイム、ゲンゲ、ヒヤシンス、クロッカスなどのハーブや花を食べて育てられていて、独特の香りと味になる。

練らないとかたいアイス
山羊のミルクを90℃に温め、サーレップ、砂糖の順に投入して混ぜ、一晩休ませる。翌日2時間かけて冷やしたら完成だ。けっこう硬めのアイスクリームになる。
レストラン・カフェでも

ドンドゥルマのパフェ
トルコで朝食やドンドゥルマが食べられる有名チェーン店として、MADO(マド)がある。アイスの老舗・MADOのドンドゥルマは、若者からお年寄りまで大人気。一年中、大定番のアイスクリーム・ショップなのだ。

MADO
レストランなどでいただくアイスは、日本で食べるアイスクリームよりも硬めなので、ナイフとフォークを使っていただく。カフェでは、サンデーのように提供されることもある。

ピスタチオやチョコなどをつけると美味しい
ドンドゥルマジュのおじさんたちが、練りまくっているのは、すぐに固まってしまうためだ。練って練って、あののびるアイスクリームになる。レストランでは練らずに、少し硬めのままいただくのだが、これはこれでいいが、「思ったのと違う」と思う日本人もいるのは納得だ。
MADO(マド)公式サイト
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※この記事は、トルコのとりこ(2019/12/25)をリライトしたものです。