
カッパドキア観光の玄関口カイセリ市・通り過ぎる前に知っておきたい9つのこと
公開日 2021年8月20日 最終更新日 2021年9月21日
カイセリ県カイセリ市は、アナトリア半島のど真ん中、おへその位置にある。偉大な建築士・ミマール・シナンを生み出した場所である。このカイセリにある空港は、カッパドキアの玄関口として多くの便が離発着するので、利用されたことがある方も多いはず。空港からすぐに、リムジンバスやツアーバスなどを利用してカッパドキアに行ってしまったうのが通常なのだが、通りすぎるにあたり知っておきたい、カイセリ9つのこと。
カイセリについて

クルシュンル・モスク周辺とエルジエス山/カイセリ市
カイセリ県は、アナトリア大陸の真ん中にあり、カッパドキアの奇岩を造成した火山の一つであるエルジエス山、鉄分を含む赤い川・クズル川を有している。オスマン帝国の偉大なる建築家・ミマールシナンと、「父と子と聖霊の御名において」の言葉を世に出したことで知られるバシレイオスはここカイセリの出身である。

県境にあるシャフルフ橋/カイセリ県
日本のガイドブックに取り上げられるような有名な観光スポットとしてあげられる場所がないため、ツアーなどには組み込まれないが、カッパドキア観光の玄関口として、中央アナトリア地方有数の商業都市として、カイセリは大きな役目を果たしている。
共和国広場周辺にある6つのスポットを観光する

共和国広場周辺/カイセリ
共和国広場周辺がカイセリ観光の中心地となる。レストランもショッピングも歴史的建造物も、この広場周辺に集まっているので、時間があればぜひ歩いてまわりたい。
共和国広場

共和国広場/カイセリ
共和国広場(Cumhuriyet Meydanı)は、トルコで二番目の広さを誇り、カイセリに2本走っているトラムもこの広場を通る。実際、カイセリ市内において観光は、グルメ、ショッピングまで、広場周辺だけで十分である。初めて訪れるなら、時間をつぶせるどころか、むしろ時間が足りなくなるだろう。
カイセリ城

カイセリ城
カイセリ城(Kayseri Kulesi)というよりは、カイセリ城跡といってもいいほどで、今残されているのは城壁のみである。ローマ帝国時代に建てられたとされる。夜はライトアップされてフォトスポットとなる。
時計塔とアタテュルク像

時計塔とアタテュルク像
1904年、皇帝アブドゥルハミト二世の命令により建てられた時計塔(Kayseri Saat Kuresi)は、高さ10メートルほど。「全都市に時計塔を建てよ」という皇帝の勅令に従った形だ。時計塔に寄り添うように建てられた小さな建物は、ムワッキターネとよばれる。

ムワッキターネ
ムワッキターネは、イスラム教徒のお祈りの時間を正確に測るための施設。後に、トルコ建国の父アタテュルクが、ここで人々の嘆願を聞いた。黄金のアタテュルク騎馬像(Atatürk Heykeli)があるのは、こういった理由からである。
クルシュンル・ジャーミィ

クルシュンル・ジャーミィ
ミマール・シナンが設計したことで知られるクルシュンル・ジャーミィは、1573に建築された。シナンらしいドームや中庭が見られる。カイセリ市内には12のモスクがあるが、シナンが建てたのはクルシュンル・ジャーミィのみ。それほど大きくないモスクだが、シナン・ファン必見である。
ウル・ジャーミィと噴水
ウル・ジャーミィと噴水(Ulu camii ve Çeşmesi)は、1134~1143年ごろ、カイセリを首都としたセルジュク朝の皇帝、メリク・メフメト・ガズィによって建てられたとされる。石造りのモスクは、セルジューク朝の建築様式で、オスマン建築にはない素朴でエキゾチックさがウリである。
フナト・ハトゥン神学校

フナト・ハトゥン神学校
カイセリ城跡のすぐ隣には、石造りの複合施設(Hunat Hatun Medrese)があり、モスク、神学校、墓などが並ぶ。1237年、当時の皇帝の妻マペリ・フナト・ハトゥンによって建てられた。近年まで、考古学博物館等として利用されていたが、修復を経て、現在はバザールとして利用されている。また、セルジューク朝時代の神学校は、この辺りに数多く残されているので、散歩していれば次々と神学校に突き当たるだろう。
セルジューク文明博物館
広場のすぐ北側には、2014年オープンのセルジューク博物館(Selçuklu Müzesi)がある。セルジューク朝時代の病院と神学校(Çifte Medrese)だったが、エルジエス大学の医学史博物館を経て、セルジューク文明博物館として生まれ変わった。建物のみならず、セルジューク朝時代を中心とした、貴重なコレクションの数々を見学できる。
セルジューク文明博物館公式サイト
カイセリの伝統的町並みでまったりする

カイセリ地区
共和国広場から徒歩10分の場所には、廃墟となった石造りの家々を修復した町並みがある。その一部を改装して、カフェなどとして再生した、新しい観光スポットが誕生した。トルコらしい雰囲気の中でまったりお茶をできるのがお気に入り。
天才建築士ミマール・シナンの生家を訪ねる

シナンの生家
オスマン建築に無くてはならない、天才大建築士・シナンの故郷は、ここカイセリだ。篠原千絵さんのマンガにも「カイセリのシナン」と名乗るシーンが登場する。彼の生まれた家(Mimar Sinan’ın Doğduğu Ev)は、カイセリの中心部から車で30分ほど外れた、静かなアーウルス村にあって、彼が22歳になるまで住んでいたとされる。生家は修復ながらも、当時のままの雰囲気で残されている。

カイセリのグルメを食べ尽くす
カイセリ・マントゥ

カイセリ・マントゥ
トルコの国民食であるマントゥだが、カイセリのマントゥ(Kayseri Mantı)は少し特別らしい。唐辛子とスマックというハーブを使うのがポイントだ。ピリッとして香り高いマントゥは、一つ一つがとにかく小さい。小さければ小さいほどいいらしいのだ。スプーンに何個か乗せて食べ、歯ごたえと香りを楽しめる。ミントとヨーグルト&トマトペーストのソースがまた絶品。
パシュトゥルマ/パストゥルマ

パシュトゥルマ
パシュトゥルマ(Paştırma)は、牛肉の塩漬けで、カイセリ産のものが最高級とされている。アルメニアとの国境に近い町・カルス産の牛を仕入れ、カイセリで塩漬け・干して・熟成の加工をする。およそ一カ月ほどの時間をかけて作られるパシュトゥルマは、手間暇がかかっているだけに味わい深い。

パシュトゥルマは朝食にも
赤ければ赤いほど、熟成されて美味とされているが、それも好み次第。広場近くにお店が数件お店が並んでいる。薄くスライスされたものをそのまま食べたり、ピデの具材としても大活躍。パシュトゥルマと卵の組み合わせは朝ごはんの王道メニューの一つなのだ。日本への肉類は持ち込み禁止なので、ランチで試すのがいい。
新旧2つのショッピング街でお買い物をする
バザール

パシュトゥルマのお店
屋根付きのバザール(Kaplı çarşısı)は、共和国広場にあるジャーミィのすぐ隣に陣取っている。カイセリのバザールは、イスタンブールに次ぐ広さを誇り、地元カイセリやカッパドキア名産が手に入る。
フォーラム・カイセリ
旅先のスーパーは必ず訪れたい方に朗報がある。ショッピングモール・フォーラム(Forum)という大型ショッピングモールが町の中心にあり、旅行者でも利用しやすい。外資系スーパーMIGROS、銀行、薬局、D&R(音楽と本)、キッチン用品からブランド物まで、買えないものはなさそう。スーツケースが重たくならない程度に、お土産調達におすすめだ。女性なら服やアクセサリーなどの流行もある程度見て回れて時間つぶしに最高の場所なのだ。
空港行きリムジンバス乗車地
空港と市内を往復するリムジンバス・ハワシュ(Havaş)は、カイセリのバスターミナルまたはフォーラムカイセリから出ている。
冬はエルジエス山でスキーをする

エルジエス・スキー場
カイセリといえば、エルジエス山である。エルジエス山は、カッパドキアの奇岩群を創り出した火山の一つであり、トルコ有数のスキー場でもある。ホテルも充実している。

まだまだある、カイセリの魅力

カイセリの夜景
メヴラーナの師であるサイード・ブルハネッディンの墓、カイセリ高校やキュンベット等のセルジューク朝時代を中心とした遺産が多く残されている。市内を動くなら、路面電車Kayseray(カイセライ)を活用できる。
アクセス
全国各地から、飛行機、電車、バスでカイセリ入り。カッパドキアの玄関口とはいえ、カッパドキア観光の中心地であるユルギュップやギョレメからはかなり離れているので、寝台列車の利用などで夜遅くなる場合は、事前に送迎を予約するのがおすすめだ。
TCDD(国鉄)

カイセリ駅
カイセリ駅まで電車で移動してきた場合、観光の中心となる共和国広場周辺は徒歩10分ほど。そこから空港へは、フォーラム・カイセリから出ているハワシュ(エアポートリムジン)に乗車するか、トラムヴァイに乗車してバスターミナル(Kayseri Terminali)まで行き、バスターミナルから空港へと向かう。
TCDD公式サイト
空港から市内

ペガスス航空
空港⇔市内の移動は、100、101、271番いずれかのバスか、ハワシュ(エアポートリムジン)に乗車する。路線バスは降りるバス停の判断が難しいため、ハワシュを強くすすめる。ハワシュでバスターミナル(Kayseri Terminnali)まで行き、トラムヴァイで共和国広場まで行く。
カイセリ空港公式サイト
カイセリ交通局公式サイト
上記がリンク切れの場合は、下記TOPページから検索を。
カイセリ・バスターミナルGoogleMap
カイセライ(トラムヴァイ)について

カイセライ 画像:Wikipedia
カイセリのトラムは、2021年8月現在2路線ある。空港へは繋がっていないが、バスターミナルと共和国広場まではT1路線でつながっている。バスターミナルには乗り入れていないため、南へ5分ほど歩いてセリミエ駅(Selimiye)からベイズシェヒル(Beyazşehir)行きのトラムに乗車し、ジュムヒュリエットメイダヌ(Cumuhuriyet Meydanı)で下車。

カイセライ路線図/カイセリ公式サイトより
市内には、カイセリ・バスターミナル(Kayseri Terminnali)があるが、共和国広場からは離れた場所にある。
料金は1乗車あたり2.5TL程度(値上げしょっちゅう)。チャージ式カードもあるが長期滞在ではない限り不要で、現行の磁気カードを購入することになる(今後磁気カードではなくなる可能性もある)。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。
※この記事は、トルコのとりこ(2020/2/20)をリライトしたものです。