宗教都市コンヤで外せない観光スポットとグルメとは?

公開日 2021年8月22日 最終更新日 2021年9月21日

コンヤは、トルコの広大なアナトリア半島の中央部にある宗教都市。カッパドキアとイスタンブールの間に位置していて、日本発着のグループツアーでも立ち寄ることがある。国民のほとんどがイスラム教スンニ派のトルコにおいて、イスラム神秘主義という一風変わった宗教文化が花咲いた。私が尊敬するルーミーが生きた町・コンヤでおさえておきたい観光スポットとグルメをまとめてみた。

コンヤ県・コンヤ市について

コンヤ市中心部

アナトリアの中央部にあるコンヤは、人口74万人の大都市であり、県の面積としてはトルコ最大を誇る。盆地なので夏暑く冬寒い。乾燥している大陸性気候でもあるが、コンヤ市の周辺には広大な農地が広がっていて、農業の盛んな県でもある。また、コンヤ市の周辺には、現時点で最古の集落遺跡とされるチャタルホユク遺跡がある。先史時代・6500年前ごろの遺跡で、ユネスコ世界遺産に登録された。

チャタルホユク遺跡

コンヤが最も栄華を極めたのは、ルーム・セルジューク朝時代、コンヤが首都であった頃だろう。その頃に築かれたモスクや霊廟や博物館が今も残っていて、観光の目玉となっている。市内には、古いモスクのほか、博物館なども興味深いスポットである。中でも絶対外せないのは、メヴラーナ博物館とセマー観賞だ。コンヤ名物のひき肉ピデやフルン・ケバブといったグルメもまた外せない。

メヴラーナ博物館

個人的感想としては、乾燥したアナトリアのど真ん中にある、ルーミーという偉大な人がいた聖地という一言に尽きる。

イスラム神秘主義者「ルーミー」「メヴラーナ」「メヴレヴィー」とは?

メヴラーナ像

コンヤを訪れるなら、必ずおさえておきたい重要人物、それがメヴラーナ・ジェラーレッディン・ルーミーだ。彼は現在のアフガニスタンに生を受け、中東一帯で偉大なる師として尊敬されていたメヴラーナの父に教育を受けた。イスラム教国家・ルーム・セルジューク朝の皇帝から懇願され、父と子はこの地に定住することとなった。その後、息子・メヴラーナは、イスラム神秘主義教団メヴレヴィーを創設し、生涯全てをこの教団にささげた。彼が残した本は数多くはないが、世界中で翻訳され読まれ、偉大なるマスターとして敬愛されているのだ。

かわいらしいメヴラーナのおきもの

彼が教え子たちに残した、人生に役立つさまざまな名言は、日本でも出版されている。

メヴラーナ博物館

メヴラーナ博物館

メヴラーナと父(長い名前なので失礼ながらこう呼ばせていただく)とその息子をはじめとした家族とその周囲の人々は霊廟に祀られることとなり、現在のメヴラーナ博物館(Mevlana Müzesi)になっている。メヴレヴィー教団は、政教分離政策をとった建国の父・アタテュルクがメヴレヴィーを禁止したことにより、現在は公に宗教活動をしていないようだ。博物館は観光のハイライトであり、コンヤ市の中心でもある。

ルーミーの父に贈られたバラ園

メヴラーナ博物館

この土地は元々、ルーム・セルジューク朝の皇帝が保有するバラ園であったが、メヴラーナの父へ贈られることになった。メヴラーナ父は大変に偉大な人で、皇帝さえも敬愛し、人々から尊敬ていたマスターであった。そのメヴラーナの父が亡くなった時、人々は父とともに眠ることをメヴラーナへ要求したほどだ。

霊廟の建設

メヴラーナ博物館

メヴラーナ父がなくなったとき、民衆らがメヴラーナ父と共に葬られることをメヴラーナに要求したが、彼は拒否した。「父の眠る空は青くあるべきである」という理由からであった。だが、1273年12月17日にメヴラーナが亡くなったとき、メヴラーナ息子と弟子たちや人々からの要望により、いよいよこの地にメヴラーナの霊廟が建てられることとなったのだ。

霊廟には棺が並ぶ

建築家・べドレッティン・タブリズィ(Bedrettin Tabrizi)によって建築され始め、完成したのは19世紀。実に600年の歳月をかけて建設されたことになる。緑のドームと称されるメヴラーナの霊廟、鮮やかなターコイズの塔がある。

ルーミー・パピルス

彼の著書であるメスレヴィーの最古のコピーとされるものなどが展示されている。また、「あなたが無神論者でも偶像崇拝者でも、拝火教信者(ゾロアスター教など)でも、私のところに来なさい」との一文が記されたプレートは、見所の一つでもある。

メヴラーナと息子の棺/メヴラーナ博物館

メヴラーナ父の棺/メヴラーナ博物館

メヴラーナ父、メヴラーナ息子とその家族と偉大な師とされる人々の永眠する場となっている。ムハンマドのあごひげを入れた箱も展示。イスラム教であってイスラム教ではないメヴレヴィーとメヴラーナの元へ、トルコ国内外から訪れる人が絶えない。

旋舞(セマー)

セマー(旋舞)

旋舞(sema:セマー)は、詩と歌と舞が一つとなった、メヴレヴィー教団の重要な修行であり、宗教儀式であったようだ。スカートをはいたヒゲの男性が、クルクルと回り続ける様子には驚かされる。この旋舞はあくまで宗教儀式のため、ショーではないとの理由から拍手は禁止されている。厳粛な気持ちで見学させていただくものだ。セマーは、ユネスコ無形文化遺産に登録されている。

セマー(旋舞)

踊り手(semazen:セマーゼン)の帽子は墓石、ジャケットはお墓、スカートはお葬式用カバーを意味していて、儀式の最初でジャケットを脱ぐのは、死の束縛からの脱出という意味がある。生命は螺旋状であり、宇宙と一体であり、肉体ではなく精神である、を体得するためだろう。

セマー(旋舞)

旋舞の際、右手は上にあげて天をさし、左手は下にさげて地をさす。右手で天から光を受け取り、左手でこの世界へと広げるのだ。

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コンヤのグルメ

エトリ・エキメキ(コンヤ・ピデ)

エトリ・エキメキ

コンヤ名物といえば、とにもかくにも「エトリ・エキメキ(Etli Ekmek)」である。直訳すると肉のパンだが、ひき肉の薄生地ピザだ。細長くて薄いパン生地の上に、スパイシーなひき肉を乗せて、石窯でこんがり焼く。トルコの人々にいわせると、「コンヤといえば、メヴラーナとピデだ」と断言するほど超定番のようだ。女性でも軽く一皿たいらげられるが、私は数枚でお腹いっぱいになる。

コンヤ・ピデ(Konya Pidesi)ともいう

中でも人気のお店は、BoluLokantası(ボル・ロカンタ)だろう。

ボル・ロカンタ

bolulokantasi.eatbu.com

フルン・ケバブ

フルン・ケバブ

フルン・ケバブ(Fırın Kebap)のフルンはオーブンを意味し、コンヤやアフィヨンカラヒサルの名物料理として知られる。子羊やマトンの前腕と肋骨部分の肉だけを鍋に入れ、石窯で5-6時間じっくり焼き上げる肉料理だ。3kgのお肉から1kgにしかならないらしい。一人当たりの分量は150g、プルンとしたジューシーで臭みのないお肉と、やわらかく香ばしいパンと一緒にいただく。フォークを使わず手で食べるのがコツらしい。とにかくおいしいのだ。

フルン・ケバブ

コンヤで有名なレストランは、アリババ・レストラン。コンヤ市内に2店舗を構えている。

アリババ・レストラン

www.alibabafirinkebap.com

トルコ大使館のコンヤPR動画

アク

アクセス

コンヤを走るトラムヴァイ

個人旅でコンヤを訪れるのなら、電車またはバスで入る方法がある。コンヤ市内は徒歩・バス・トラムヴァイで移動する。コンヤ市交通局ATUSが運営しているトラムは2路線あって、ALAADDİN(アッラーディーン)という駅・バス停がその中心であり乗り換え場所となる。困ったらここを目指そう。

コンヤ市交通局(ATUS)公式サイト

atus.konya.bel.tr

高速鉄道・国鉄駅から

トルコ国鉄(TCDD)/ハイダルパシャ駅イスタンブール

イスタンブールのペンディキ駅(Pendik istasyonu)から、7:30発の高速列車YHTに乗車。コンヤ着は11:46、85TL(値上げしょっちゅう)。駅からはバスまたはタクシーで博物館まで移動する。徒歩だと20分ほどかかる。
※Pendik istasyonuは地下鉄M4の駅。同駅乗り換えで便利だ。詳しくは、TCDD公式サイトで確認&予約を。

高速鉄道・コンヤ・セルチュク駅/YHT Konya Selçuk istasyonu

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もしも、高速鉄道YHTではなく、TCDD(国鉄)でコンヤ入りするなら、国鉄の駅舎から博物館までは、徒歩40分の距離。バスまたはタクシーを使って移動する。バス停は、駅を出た大通りの薬局(Eczane)のビルあたりにある。38系統SAMANPAZARIまたは67系統ALAADDİN行きバスに乗車する。間違えて乗車すると郊外のド田舎に連れていかれるので、注意したい。市バスでは、メヴラーナ博物館の目の前は通らないようだが、近くまでは行くことができる。困ったら、「アッラーディンに行くか」を運転手に確認し、アッラーディンで降りてトラムに乗り換えるのがわかりやすい。

コンヤ駅(国鉄)バス乗り場/TCDD Gar

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バスターミナルから

最大手・メトロ社のバス

各都市からコンヤ行きバスに乗車し、コンヤのバスターミナルからは、トラムヴァイで中心部へ簡単にアクセスできる。オトガルを出た大通りにトラムのバス停がある。オトガル・バス停(Otogar Tramvay Durağı)から、T29:ザファル・トラムヴァイ駅(Zafer Tramvay Durağı)またはT30:アラーディン・トラムヴァイ駅( Alaaddin Tramvay Durağı)でT2路線へ乗り換えし、メヴラーナ駅(Mevlana Tramvay Durağı)で下車。目の前にメヴラーナ博物館がある。

コンヤ・バスターミナル(Konya Şehirlerarası Otobüs Terminali/Konya Otogar)

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オトガル・バス停

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メヴラーナ・トラムヴァイ駅

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最後までご覧いただき、ありがとうございます。

※この記事は、トルコのとりこ(2019/6/10)をリライトしたものです。

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