これからの旅のカタチ、ウェルネスツーリズム(ヘルスツーリズム)

公開日 2021年7月16日 最終更新日 2021年9月24日

苦境にあえぐ観光業界、これからどうなってしまうのでしょう。それでも、東京の緊急事態宣言が解除される度に、羽田空港が混雑する。それは国内旅行においてのみだ。行先はそれぞれだろうが、往来を制限することで感染を抑えることがもうできないと気が付いた海外では、すでに旅が再開されている。日本でも、再び海外・国内旅行が自由になった時、どのような旅のカタチになるのだろうか。旅行業界が注目しているのが、ヘルス・ツーリズム(ウェルネス・ツーリズム)とよばれるものだ。

ウェルネス・ツーリズムとは

栄養・休養・運動といった健康の基本に沿った、旅のプランを立てて、リゾート型ホテルにゆったりと滞在する旅を推進していこう、というもの。日本では「ヘルスツーリズム」とよばれている。企業ごと、地域ぐるみですでに動き始めている。

ヘルスツーリズム振興機構

ヘルスツーリズムに力を入れている団体は多い。例えば、山形県上山市群馬県水上市千葉県南房総市などだ。山形県上山市では、温泉・米沢牛・フルーツ・ワイン・こんにゃく等のウェルネスな資源が豊富にある。冬は、温泉と樹氷を組み合わせた旅も可能だ。このヘルスツーリズムには認定制度がある。認定された施設や活動についての詳細については、特定非営利活動法人日本ヘルスツーリズム振興機構のHPにて、確認が可能だ。

日本と海外の旅のカタチの違い

日本独自の旅のカタチ

おかげ横丁

ご存知の通り、「見る」「名物を食べる」などの観光地巡りが主流の日本の旅のカタチのおかげで、添乗員なる仕事も日本独自に生まれた。それでも、マンネリな日常から解放され、非日常へ旅することは、最高のご褒美であり、健康面においても、十分良い影響を及ぼしてきた。

海外での旅の主流とは、ヴァカンスにある。オールインクルーディブのホテルへの長期滞在が主流だ。

日本の国土の6~7割が森林で、海に囲まれた島国あること、勤勉な国民性により、日本独自の旅のカタチが発展してきたのだ。

日本でエコツーリズムはなぜ流行しないのだろう

家族で農業体験いいですね

海外では以前から、従来の観光も人気はあるものの、温泉・自然を満喫しながら、ゆったりできる旅が好まれる傾向にあった。日本でも、ヘルスツーリズムの先進国であるドイツのクオアルトや、ヨーロッパ・アジア各国のウェルネスツーリズムを真似て、日本型のヘルスツーリズムを発信していこうという動きは、実は、2000年前半からすでに存在していた。ここ数年、ようやく農業体験などが注目を集めてきたところだったが、なかなか大流行とはいかなかった。日本の場合、まだまだ若い人たちが人間が創り出した文化の方に強い興味があり、農業体験やエコ・ツーリズムなどにはあまり関心が向かないという理由もあるのかもしれない。

新型コロナウイルス流行が変える旅のカタチ

リゾート・イメージ

海外では、ロックダウンの最中から、これからの旅のカタチとして、グループから個人へ、観光からリゾート滞在へ、都市から田舎へと、旅の目的が変わっていくだろうと予測している番組を数多く流されていた。日本よりも厳しいロックダウンを強いられてきた人々は、解除後向かったのは、海と山と田舎だ。海外だろうが日本だろうが、気持ちは同じだ。解除されたら、私だって小笠原や沖縄に飛んでいきたい。

サムイ島/タイ

日本でも、新型コロナウイルス流行中、旅行業界はどうなってしまうのかという不安とともに、収束後の旅のカタチが変わってくるのではないかという憶測が、業界の雑誌を賑わせた。それが、ヘルス・ツーリズムだ。実際、「コロナウイルス収束後、どういう旅をしたいか?」というアンケートを某旅行雑誌会社がとったところ、「健康に重きをおいて旅したい」という人が急増したらしい。

ウェルネス=BIOではない日本の現状

銀山温泉/山形

ウェルネス・ツーリズムは、心や身体をゆったりほぐす、というコンセプトなのだろうが、エコではない。たとえば私が大好きな上山市はヘルスツーリズム振興機構に参加しているようだが、クアオルトやヘルスツーリズムとして見た場合、こういった疑問が生まれる。

  • 米沢牛などのおいしい牛肉の牛さんたちが食べて飼料はどんなもの?
  • 山形名産のさくらんぼは、農薬を使わなければほぼ栽培不可能と聞いているけれど、それはウェルネスなのか?
  • 南陽市を中心に収穫されているワインは、こんにゃく番所のこんにゃくは、有機栽培なのか?
  • 宿泊するホテルで使われているシーツやタオル、それらを洗う洗剤。庭にある植物たちも有機なのか?

身体に影響のない範囲での使用を許可されている農薬だが、健康という視点から考えた場合、やはりウェルネス・ツーリズムで提供されるものは有機栽培のものがベストだ。食べ物のみならず、肌に直接触れる洗剤も、肌と地球に優しいものであることが望ましいだろ

畑の芽吹き

う。

だが実際、それは今の日本では現状困難なはずだ。有機栽培とはいっても、ヘリコプターで散布された農薬は少なからず自畑にもやってきてしまうからだ。ウェルネスやエコツーリズムは、国や政府も協力して動かなければ成り立たないとさえ思える。大手旅行会社はそこまでこだわることはしないだろう。海外のスーパーでは必ず”BIO”と書かれた野菜や製品が並ぶが、日本ではまだまだオーガニック野菜やBIO製品を見かける比率が少ない。

ホテルの朝食例

ホテルの朝食で出されるパンも、ほとんどが輸入小麦だ。 山田豊文先生のfacebookによると、北アメリカ産(カナダ・アメリカ)の小麦のうち、日本向けに輸出されているのは、除草剤(グリホサート)がまかれているものであり、子どもたちが食べる学校給食のパンには、微量ながら農薬が含まれているということが発表されている。 実際、そこまでこだわって旅をする人などほとんどいないだろう。だが、提供する側のホテルなどに「これは減農薬です」といったようなメモを貼付してあるのとないのとでは、お客様の気持ちもかわるものだ。病は気から、気が変われば病が改善されることだってある。ウェルネスツーリズムでは、本当に心・身体・精神に良いものだけを取り入れたいと思う人は少なくないはずだ。

心緩める旅へ

マチュピチュ遺跡/ペルー

コロナウイルスのパンデミックによって、自然療法や温泉療法等で免疫力を維持し、ウイルスに負けない強い身体・心を求める旅を求められるようになった。特に、東京のような都心でストレスと接しながら生活をしている人には、地方へ旅することは、想像以上の効果がある。全身が緩んでいくのがよくわかるのだ。

とはいえ、遺跡や世界遺産にも、心躍り心身ともにリラックスできる効果は十分にある。旅はワクワクをよみがえらせてくれる、素晴らしいツールの一つだ。

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